内容説明
一兵士として、ニューギニアの最前線で戦ったみずからの実体験を踏まえ、世上に流布、既成事実と化している「戦争の嘘」をするどい洞察力と精緻な分析力で分かり易く解き明かす。作意的な証言、恣意的軽率な判断で形づくられた「戦争の真実」なるものの虚構を凝視。公正な客観的歴史観を提示する太平洋戦争研究。
目次
証言と報道
歴史と戦記文学
歴史記述と事実
「ヤスクニ」と靖国神社
「レクイエム」のことば
破倫
「戦場の女たち」異聞
命令と体験の限界
ピジン・イングリッシュ
挽歌と「妹の力」
美と愛と死と
奇怪な流言
奇怪な報道
虚構から歴史へ
結びに代えて
著者等紹介
尾川正二[オガワマサツグ]
1917年、旧朝鮮に生まれる。京城帝国大学国文科卒業。広島大学大学院国文研究科修了。関西学院大、桃山学院大、梅花短大教授を歴任。2009年3月、歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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CTC
1
著者は京城帝大卒、関西学院大教授等歴任、文章表現の専門家だが、83歳の時の文とあってか、推敲は不十分。光文社NF文庫の中でも評論形式のため読みにくい部類。著者はニューギニア戦の体験や戦後の知見から、同地での戦いについて伝えられる「食人」や各種の戦争犯罪の論証に誤謬がありそうな事を指摘していく。ただし、例えば41師団歩兵団長が発令したという「秘密命令」は、焼却されていない時点でニセモノだ、とするように、否定の論拠が薄く、感情論のため何とも云えない読後感。ま、このレーベルはそういうものではあるのだけれど。2014/06/04