内容説明
禅僧たちの負の遺産とは?欧米的視点で「国家と宗教と戦争」を凝視する異色作。僧衣をまとって人の道を説き、「死の覚悟、無我、無念、無想」を教える聖職者たち―禅仏教の歴史と教理の裏側に潜むものを徹底的に考察する。
目次
廃仏毀釈運動
初期に見られる仏教側の社会的目覚め
内山愚童―革新的曹洞禅僧
既成仏教教団による革新的社会活動の拒絶
軍部政策に吸い込まれた仏教(1913‐30)
軍国主義に対する仏教側の反抗
禅、その暗殺者たち
皇道仏教の誕生
皇国禅、そして軍人禅の登場
戦時に協力した禅の指導者たち
戦後における皇道仏教、皇国禅、あるいは軍人禅への反応
戦後日本における企業禅の登場
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
左手爆弾
6
「キリスト教やイスラム教は一神教だから差別や排除があるが、神道や仏教は寛容な宗教だから大丈夫」なんて、よくも言えたものだ。例えばこの本では繰り返し「一殺多生」だとか、「救済のために殺す」などということが平気で語られる。「悟りを開いた後の」鈴木大拙がここまで好戦的だとは知らなかった。おまけに、戦後も目立った反省はせず、場合によっては「皇国禅」「軍隊禅」とそう変わらない「企業禅」として企業が人間を支配するのに手を貸している。筆者の指摘は実に重い。日本思想の批判点を探る意味でも重要な一書として強く薦める。2014/05/19
Hiroyuki Okumura
0
この本の問いかけにひとりひとりが答えを出さないといけないのではないか。企業禅や訳者のあとがきには、はっとさせられることばかり。2015/03/08