内容説明
飛行機もろとも自らの肉体を敵艦に四散させる体当たり攻撃・特攻―若き特別攻撃隊員たちは、最前線の特攻基地で「約束された死」の関頭に立って、何を思い願って出撃していったのか!逝く者、遺された者、それぞれに重い十字架を背負い、死を全うし、あるいは生きなければならなかった悲劇の歴史を、多角的に照射した感動の人間物語。日本文芸大賞ノンフィクション賞受賞。
目次
居酒屋「薩摩おごじょ」
映画「乙女のいる基地」
光山少尉の「アリラン」
魔海の決死渡航
不時着特攻兵の生と死
黒島の絆
猶与された時間に
幻の「振武寮」
それぞれの戦争
特攻妻二人の壮絶な選択
米海兵隊、知覧上陸
米軍進駐
司令官の巡礼
著者等紹介
佐藤早苗[サトウサナエ]
1934年7月1日、東京都中野区に生まれる。戦争のため広島県福山市に疎開。女子美術大学洋画科に入学。中退後、鶴岡政男画伯に師事する。自由美術協会会員として創作活動。グループ展、個展、イラスト集出版。1970年、ノンフィクション作家に転向。執筆活動。その他、NHKの「ニュースセンター9時」のインタビューアーをはじめ、テレビ、ラジオ、講演などで活動。日本文芸家協会、日本ペンクラブ、大衆文学研究会、軍事史学会会員
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感想・レビュー
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だい
6
来年は戦後70年になる。戦争とは何だったのか?多数の若者の死と彼らを取り巻く者たちの深い悲しみ、それしかなかったのではないか。この本は大東亜戦争で陸軍飛行場用地となった知覧での様子が書かれている。あまり知られていない「なでしこ隊」 隔離された特攻隊員が出撃命令が出るまで、身の周りのお世話をする女学生達の事である。彼女らが何を感じ、何を思ったか、淡々とした文章が逆に物悲しさを誘う。戦争は万物に幸せをもたらせない。横山秀夫氏の「出口のない海」で号泣した事を思い出す。2014/12/16
Tsuka
1
特攻兵と知覧の街での出来事を書いたノンフィクション。特攻の惨さが表されている。表向きは気丈にしていても、みんな死に怯えていたし、家族や仲間との別れを悲しんでいた。 敗戦はわかっていただろうに、それでも突っ込まさせた国が狂気というか… 狂気の中で、国を守るために戦った彼等には敬意を感じます。2018/03/30
tecchan
0
特攻の町知覧に生きた様々な人達の物語。特攻兵達の数々の悲劇、特攻兵を支えた町の人、乙女達の優しさ。戦後、重い十字架を背負っ人も。涙なしでは読めない物語。2016/10/30