内容説明
日常生活から戦時まで、男女間に生じる“暴力”を、さまざまな事象をとおしてとりあげた5回の連続講義。秋葉原での無差別殺傷事件、広告・CMや公共彫刻、戦時の「国語」と女ことば、現代の人身取引の実態、「慰安婦」問題と米軍の性犯罪について、5人の専門家が分析し、日常と非日常の暴力の問題を考える。
目次
講義1 アキハバラ事件と男の暴力(事件にみられる暴力要因;暴力問題要因とジェンダー ほか)
講義2 視覚メディアと性暴力的表現(女性運動によるポルノ批判;メディアでのジェンダーと暴力の問題化の概観 ほか)
講義3 戦争と「女ことば」(言語イデオロギーとしての「国語」と「女ことば」;近代国家と「国語」 ほか)
講義4 人身取引される女性たち(来日する外国人女性の急増;人身取引とは ほか)
講義5 日本軍「慰安婦」制度と米軍の性暴力(戦争にレイプはつきものか;軍隊と売春―兵士の性管理 ほか)
著者等紹介
林博史[ハヤシヒロフミ]
関東学院大学教授。専攻は平和研究、軍隊・戦争論
中村桃子[ナカムラモモコ]
関東学院大学教授。専攻は言語学
細谷実[ホソヤマコト]
関東学院大学教授。専攻は哲学・倫理学・男性研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Yoshiko
2
大変充実した内容だった。特に、三木恵美子さんの人身取引に関する論文には貴重な指摘がたくさんあった。本書の出版から10年以上がたっているが、これらの5本の論考はどれも色あせていない。最後の「慰安婦」制度に関する林博史さんの文章は、今進行しているロシア軍によるウクライナ侵略も思うと、兵士を兵士にするものは何なのかということを考えさせられる(今ウクライナで性暴力が起きているのではないかという意味ではありません)。「女ことば」や「敬語」が日本伝統なのではなくつくられたものだという中村桃子さんの指摘も重要。2022/03/08
えんさん(연싼)@読書メーター
0
メディア・戦争・人身売買・殺人をジェンダーから分析した講義ノート。秋葉原での殺人事件から、これまで日本が保とうとしていた「男性らしさ」(「男は正規労働者でなければならない」といった強迫観念等)が揺らいでいることが分かる。しかし男性優位の社会を肯定するのではなく、その考えを保とうとする社会を問う点が面白かった。2014/10/25
rin_desert
0
考え方が合わないからこそ読む価値がある。なんでこんなに合わないんだろうと考えたお陰で、少し頭の整理ができた。2009/11/07