内容説明
“大航海”から遠く離れて―地震、津波、戦乱、革命、クーデター、脱植民地…。繰り返される試練の度にしたたかに立ち上がる、近現代ポルトガルの“歴史的叡智”を平易に詳述する。
目次
第1章 現在の危機とフリーメイソン
第2章 ポンバル侯爵とリスボン復興
第3章 青と白から緑と赤へ―王制の崩壊と共和制樹立
第4章 「F」の三分の二―ポルトガルの深層を考える
第5章 サラザールと戦った二人の政治家―アルバロ・クニャルとマリオ・ソアレス
第6章 謎の死を遂げた二人の偉人政治家―アミルカル・カブラルとサ・カルネイロ
著者等紹介
市之瀬敦[イチノセアツシ]
1961年、埼玉県生まれ。東京外国語大学大学院修了。外務省在ポルトガル日本大使館専門調査員を経て、上智大学外国語学部教授。ポルトガル語学、クレオール諸語研究とともにポルトガル社会論、ポルトガル語圏アフリカ文学に関する研究もおこなう(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ごー
2
フリーメーソンとかファチマとか、ちょっと「ムー」みたいな事柄も取り上げられている(もちろんムー的視点ではない)。サラザールのことをもっと読めるかと期待したのだが、それについては同じ著者の別の本に書かれているらしい。面白かったのは共産党員たちの脱走劇(脱出までは緊張感あふれ、逃走中は子供作るというのどかさ)、個人的に衝撃だったのはバレエ・ローズ事件(下劣なおじさんはどこにでもいるのだなあ)。持ち歩くのが重かったので、もし電子版が出たら絶対買う。2017/07/14
よしださいめい
1
「ポルトガル」というと、大航海時代というイメージがほとんどで、近現代史については、ほとんど知らない。 そのことについて、ポンバル侯爵とサラザールという二人の人物を中心に、近代〜現代までの波瀾万丈のポルトガルの歩みを、わかりやすく丁寧に説明している。 内容は、やや固い(?)かもしれないが、筆者がたびたびする「脱線」がまたおもしろく、それが「脱線」に留まらず、本題に戻っていたり、あるいは、「ちなみに〜」の後に「余談だが」が続くのも、ご愛敬。 とても有意義な一冊となった。2017/01/09