テクストとは何か―編集文献学入門

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テクストとは何か―編集文献学入門

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  • サイズ A5判/ページ数 258p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784766422801
  • NDC分類 020
  • Cコード C3000

出版社内容情報

テクストを疑え!印刷されたテクスト、検索されたテクストをより主体的に、より深く楽しく読み解くための知の技法。

▼テクストを疑え!
印刷されたテクスト、検索されたテクストをより主体的に、より深く楽しく読み解くための知の技法。

一度成立したテクストは、それ自体が一人歩きして、あたかも確固とした権威をそなえているかのように錯覚させます。それらは、どれを用いても大丈夫なように見えます。しかし、テクストとはそもそも何かを意識し、心得をもって臨まないかぎり、私たちはテクストに裏切られ、使いそこなってひどい目にあうことでしょう。その結果、どんなテクストも信用できない、意味がない、などと過剰な嫌悪を抱いても、なんの得にもなりません。むしろ「テクストを疑う」という健全な態度をもって技法を培いながら、それぞれのテクストに向かっていくしかないのです。

印刷されたテクスト、情報で検索されたテクストはそのまま受け取ってはならず、読者として主体的に読み解く必要があります。そこでは、複数の接し方、読み方の可能性が現れることでしょう。しかし、相対主義に立って、どんな読みをしても構わないということにはなりません。開かれたテクストへの接近をつうじて、一定の作法にのっとった蓋然性、つまり<ruby>も<rt>・</rt></ruby><ruby>っ<rt>・</rt></ruby><ruby>と<rt>・</rt></ruby><ruby>も<rt>・</rt></ruby>な解釈へと進むことが、テクストを読むということなのです。

序 編集文献学とは何か   明星聖子

?T 古典とは何か
 第1章 西洋古典テクストの伝承と校訂
 ―― プラトン『ポリテイア(国家)』   納富信留
 第2章 著作集編集と「古典」の成立
 ―― ゲーテ『若きウェルテルの悩み』   矢羽々崇

?U 聖典とは何か
 第3章 聖なるテクストを編集する
 ―― 新約聖書   伊藤博明

?V 作品とは何か
 第4章 ヨーロッパ中世の俗語文学
 ―― チョーサー『カンタベリー物語』   松田隆美
 第5章 可能態としてのテクスト
 ―― ムージル『特性のない男』   北島玲子

?W 上演とは何か
 第6章 演劇テクストの作者は誰?
 ―― シェイクスピア『ハムレット』   井出 新
 第7章 歌劇の「正しい」姿?
 ―― ワーグナー《タンホイザー》   松原良輔

?X 作者とは何か
 第8章 モダニズムのテクスト
 ―― フォークナー『響きと怒り』   中谷 崇
 第9章 遺稿編集の問題
 ―― ニーチェ『権力への意志』   トーマス・ペーカー(矢羽々崇
 訳)

 終 章 テクストとは何か
 ―― カフカの遺稿   明星聖子

  結   テクストを読み解く技法   納富信留

  人名索引

【著者紹介】
明星 聖子
埼玉大学大学院人文社会科学研究科教授(ドイツ文学)。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。
主要業績:『新しいカフカ ―― 「編集」が変えるテクスト』(慶應義塾大学出版会、2002年)、『カフカらしくないカフカ』(慶應義塾大学出版会、2014年)。

内容説明

テクストを疑え!印刷されたテクスト、検索されたテクストをより主体的に、より深く楽しく読み解くための知の技法。

目次

1 古典とは何か(西洋古典テクストの伝承と校訂―プラトン『ポリテイア(国家)』
著作集編集と「古典」の成立―ゲーテ『若きウェルテルの悩み』)
2 聖典とは何か(聖なるテクストを編集する―新約聖書)
3 作品とは何か(ヨーロッパ中世の俗語文学―チョーサー『カンタベリー物語』;可能態としてのテクスト―ムージル『特性のない男』)
4 上演とは何か(演劇テクストの作者は誰?―シェイクスピア『ハムレット』;歌劇の「正しい」姿?―ワーグナー“タンホイザー”)
5 作者とは何か(モダニズムのテクスト―フォークナー『響きと怒り』;遺稿編集の問題―ニーチェ『権力への意志』)

著者等紹介

明星聖子[ミョウジョウキヨコ]
埼玉大学大学院人文社会科学研究科教授(ドイツ文学)。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)

納富信留[ノウトミノブル]
慶應義塾大学文学部教授(西洋古代哲学・西洋古典学)。ケンブリッジ大学古典学部(Ph.D)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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へくとぱすかる

56
読書中に頭にあったのは、宮澤賢治の「校本全集」。かつての全集は、少しでも良い本文を求めての、編集者による努力の成果だったが、校本全集は原稿のすべてをそのまま活字化、物語の前後の矛盾も残し、より文学研究に向く形になった。それでも本書に紹介された、ニーチェやムージルなど、すさまじいテクストの混乱より、よほど軽いものだろう。一般の読者としての立場からすれば、多少の未整理部分があっても、作品は一貫して読めるものであってほしい。テクストの哲学的奥深さの次に、流布本をどうするか。これも大切な「編集」の仕事だと思う。2021/10/06

T.Y.

7
プラトン、ゲーテ(古典テクスト伝承の問題)、『新約聖書』(聖典)、中世のチョーサーと近代のムージル(元々編集によって多様な姿を取る可能性を持った作品)、シェイクスピアとワーグナー(演劇の上演とテクスト化の問題)、フォークナーのモダニズム文学とニーチェの遺稿編集、そしてカフカという事例による編集文献学入門。各事例のテクスト編纂史は詳細で、オリジナルの現存しない古典から執筆経緯のよく分かっている現代作品までそれぞれに様々な問題があり、「本来のテクスト」を復元するという発想の限界も教えてくれる。良い一冊。2015/11/22

七草奈々子

3
良著。専門柄、自分の研究対象のテクストに関しては、紙に印刷されたテクスト本文を疑い、批判資料を参照しつつ最も理にかなったテクストを再構成するということを意識し、行ってきたが、その意識がほとんどあらゆるテクストにまで広げられねばならないということを教えてくれる。2017/12/06

hika

3
聖書からカフカまで編集文献学という切り口で、文献学の基礎をわかりやくまとめてくれている。文献学の歴史、特に真正のテクストというものの限界をみつつもそれを否定しきれないような流れは面白い。ニーチェが力への意志のテクスト(とされるもの)にでかでかとハブラシと書き込んだ話が無駄に笑える。2016/07/18

じゃむ

2
今読んでいるテクストが多分に恣意的な編集に依るものであるということを、私たちは常に意識し続けなければならないのだろう。「正しさ」には限界がある。いや、そもそも存在しないのだ。であるならば、自分が如何なる立場で数多くの可能性の中から一つのテクストを採用したのかという問題に自覚的にならなければならない。不可能であることを弁えた上で、真摯に向き合うこと。自らの選択に責任を持つこと。特権性を行使しないこと。私は、テクストに対して"誠実"でありたい。祈るような切実さで、私は心からそう思っている。2020/12/03

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