出版社内容情報
移民国家としての歩を進めることで、ドイツの移民政策・難民保護はどのように変化していったのか?新たな包摂と排除を論ずる。
ドイツにおける難民政策の変遷を分析。
移民国家としての歩を進めることで、ドイツの移民政策・難民保護はどのように変化していったのか? 市民社会の庇護、国家レベルの政策、EUレベルの共通移民政策を検討することで明らかにするとともに、移民の権利保護が拡大する一方で、強化された難民・非正規移民の管理・取り締まりの実態から、新たな包摂と排除を論ずる。
はじめに
第?T部 脱国家化・超国家化と再国家化の間で揺れ動く西欧諸国の移民
政策
<b>第1章 人の移動と国民国家の境界</b>
1 人権保護体制の確立と国家主権の衰退?
2 研究方法と調査の概要
3 移民国家と「非移民国家」 ―― 分析概念の整理
4 ドイツ移民研究への2つの研究アプローチ
<b>第2章 超国家化と再国家化の中での西欧諸国の移民政策</b>
1 はじめに
2 移民政策の意図せざる帰結と移民への権利付与
3 西欧諸国における移民政策の再編
4 移民政策における超国家化と再国家化
5 おわりに ―― 西欧諸国の移民政策にみられるジレンマ
第?U部 「非移民国家」ドイツにおける難民庇護政策と教会アジール
<b>第3章 「非移民国家」における難民庇護と制限の論理</b>
1 はじめに ―― 冷戦期における「寛大な」難民庇護
2 「経済難民」の増加と「庇護の濫用」
3 「非移民国家」における難民受け入れ制限
4 基本法庇護権規定改正の妥協の成立
5 おわりに
<b>第4章 国家のアジールと教会のアジール</b>
1 はじめに
2 アジール概念の歴史的な変遷
3 現代における教会アジールのアウトライン
4 教会アジールをめぐる国家と市民社会の対立・論争の構図
5 おわりに
<b>第5章 「監獄」に閉じ込められる難民</b>
<b>―― 脱国家・超国境の研究アプローチの再考</b>
1 はじめに
2 教会アジールと市民社会
3 「親しい間柄における監獄」
4 再国家化と超国境の不自由な移動の促進
5 おわりに
<b>第6章 難民庇護の可視化と保護制度の「民主化」</b>
1 はじめに
2 教区市民の教会アジール実施の動機
3 国境管理領域の「民主化」へ
4 対抗的公共圏としての教会アジールと国家の論理
5 おわりに
第?V部 移民国家ドイツにおける難民庇護
<b>第7章 選別的な移民の受け入れと統合政策の構築</b>
1 はじめに
2 選別的な移民受け入れ
3 「世界に開かれた寛容な社会」という論理
4 おわりに
<b>第8章 「ヨーロッパの境界」にもとづく移民受け入れと排除の論理</b>
1 はじめに
2 「望ましい移民」の受け入れ拡大
3 EUにおける国家横断的な難民・非正規移民の管理・取り締まり政策
―― 難民・非正規移民像のステレオタイプの強化
4 普遍主義をよそおった人種差別
5 おわりに
<b>第9章 ドイツへの残留と出身国送還の狭間におかれる難民</b>
1 はじめに
2 事実上の難民に対する救済策
3 自己統治能力を求められる難民
4 超国家化と再国家化の中での教会アジール
5 おわりに
<b>第10章 脱国家化・超国家化と再国家化の間で揺れ動く難民庇護</b>
1 はじめに
2 脱国家化・超国家化と再国家化の中での難民庇護
3 難民の主体性の確立に向けて
あとがき
資料ならびに参考文献一覧
索 引
【著者紹介】
昔農 英明
1980年北海道生まれ。2011年慶應義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(社会学)。専門は国際社会学。日本学術振興会特別研究員(PD)などを経て、現在、一橋大学などで非常勤講師。
主要業績として「セキュリティ対策としての移民統合 ―― 2000年代におけるドイツの事例」『社会学評論』65(1)、2014年など。
内容説明
移民政策が生み出す新たな「包摂と排除」。国家・市民社会・EUの三者間にある協調と対立に焦点を当て、移民政策・難民庇護の変化と内実を実証的に描き出す意欲作。
目次
第1部 脱国家化・超国家化と再国家化の間で揺れ動く西欧諸国の移民政策(人の移動と国民国家の境界;超国家化と再国家化の中での西欧諸国の移民政策)
第2部 「非移民国家」ドイツにおける難民庇護政策と教会アジール(「非移民国家」における難民庇護と制限の論理;国家のアジールと教会のアジール;「監獄」に閉じ込められる難民―脱国家・超国境の研究アプローチの再考;難民庇護の可視化と保護制度の「民主化」)
第3部 移民国家ドイツにおける難民庇護(選別的な移民の受け入れと統合政策の構築;「ヨーロッパの境界」にもとづく移民受け入れと排除の論理;ドイツへの残留と出身国送還の狭間におかれる難民;脱国家化・超国家化と再国家化の間で揺れ動く難民庇護)
著者等紹介
昔農英明[セキノウヒデアキ]
1980年北海道生まれ。2011年慶應義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(社会学)。専門は国際社会学。日本学術振興会特別研究員(PD)などを経て、一橋大学などで非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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