内容説明
今日もキリスト教社会で高く評価される美徳の一つ「貧者への愛」。それは紀元4‐5世紀に誕生し、キリスト教会を中心とする新しい社会システムを創成する新機軸となった。ローマ帝国のキリスト教受容という出来事を、古代末期研究の泰斗、ピーター・ブラウンが独自の視点で読み解く。メナヘム・スターン記念エルサレム歴史講演の記録。
目次
第1章 「貧者を愛する者」―一つの公的な徳目の創造(「都市を愛する者」から「貧者を愛する者」へ;「受けるよりも与えるほうが幸いだ」―パウロからコンスタンティヌスまで;コンスタンティヌス以後―特権と救貧)
第2章 「貧者を治める者」―司教とその都市(預言するより施与せよ;「貧者」の定義をめぐる問題;二極分化のイメージ ほか)
第3章 「謙譲」―東方帝国における貧困と連帯(キリスト教的慈善の変化―社会的想像力における変化;古代末期における人口学的危機の欠如;エヴェルジェティスムのキリスト教化 ほか)
著者等紹介
ブラウン,ピーター[ブラウン,ピーター][Brown,Peter]
1935年アイルランド、ダブリン生まれ。オクスフォード大学ニュー・カレッジ卒。同大学フェロー、ロンドン大学、カリフォルニア大学バークレー校教授を経て、1986年、プリンストン大学歴史学科のロリンズ記念教授職に着任。1996年以降はロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ・カレッジの名誉フェローとなる
戸田聡[トダサトシ]
文学博士(オランダ・ライデン大学)。専攻は古代キリスト教史、東方キリスト教文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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