内容説明
知的復興の時代に、徳の涵養、中庸の精神、あるべき君主像を説いた教会人の思想を、体系的に明らかにする。十二世紀ルネサンスの代表的知識人の全体像。
目次
第1部 文芸思想(巨人の肩の上に乗る矮人―ソールズベリのジョンの思想世界;ソールズベリのジョンにおける“人文主義”の意味)
第2部 政治思想(『ポリクラティクス』という書物―ソールズベリのジョンの政治思想研究序説;ソールズベリのジョンとアリストテレス―政治的徳性(virtus)をめぐって
ソールズベリのジョンとキケロ―理性と言語、社会の起源をめぐって
“国家という身体”―ソールズベリのジョンの政治社会論 ほか)
著者等紹介
柴田平三郎[シバタヘイザブロウ]
1946年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒。同大学院法学研究科博士課程修了。法学博士。現独協大学法学部教授。西欧政治思想史専攻
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感想・レビュー
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belier
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12世紀の人文主義者ソールズベリのジョンの政治思想。君主の鑑、中庸の精神、キケロの影響、両剣論、暴君殺害論など。政治思想史の入門書でも飛ばされてしまう時代の人なので、この本の著者の別の著作で知った。いつもながら著者は明晰な文章で解説してくれるので、この全く未知であった人の思想について親しむことが出来た。12世紀英国の王位を巡る醜悪な権力の奪い合いを身近で見て君主の理想を説いた人。キリスト教的な考えだけでなくキケロなどギリシア・ローマの思想も織り込む。思っていたより12世紀の西洋思想は近代と異質ではない。2017/02/18