目次
第1章 活字時代 モトヤで文字を学ぶ
第2章 写植時代1 写研との出会い
第3章 写植時代2 あたらしい本文書体
第4章 写植時代3 新書体時代のはじまり
第5章 写植時代4 書体デザイナーをとりまく状況
第6章 写植時代5 写研での文字制作
第7章 写植時代6 多書体化の時代へ
第8章 デジタルフォント時代1 フリーランスになる
第9章 デジタルフォント時代2 イワタとの出会い
第10章 デジタルフォント時代3 イワタの書体を増やす
第11章 これから文字にたずさわるひとに
著者等紹介
雪朱里[ユキアカリ]
ライター、編集者。1971年生まれ。写植からDTPへの移行期に印刷会社に在籍後、ビジネス系専門誌の編集長を経て、2000年よりフリーランス。文字、デザイン、印刷、手仕事などの分野で取材執筆活動をおこなう。2011年より『デザインのひきだし』誌(グラフィック社)レギュラー編集者もつとめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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有理数
14
かなり面白かった。戦後から現代にかけて「フォント」に向き合ったひとたちの努力と人となりが描かれている。私自身はフォントやデザインの世界に明るいわけではないが、冷静に考えて、世に存在するあらゆるフォント・文字種は、全て人間が生み出してきた、という事実には戦慄してしまう。その驚異的な足跡が綴られている。新しいフォントを募集するコンテストが開催され、凄まじい才能と技量を持った人たちが現れ、頭角を現していく70年代や、デジタル時代に突入する90年以降のエピソードなど。磨き抜かれた職人たちの眼差しに関心するばかり。2022/03/26
Gamemaker_K
9
いやあ、おもしろかったねえ。 フォント一組作るって大変なんだろうな、とぼんやり思っていたが、言葉で形容できるレベルを遥かに超えてましたね。もう仕事上でフォントに関する不平文句は言わないようにしよう。ページ下部に注釈があったが、位置内容ともよかったっすね。…橋本氏の凄みは、伝統を大事にしつつも固執せず、新しい世界へ柔軟に対応するところだろうな。しかもそれが一貫している。オイラは古いものに固執するか新しいものしか大事にしないかのどっちかだから。2020/12/20
kenitirokikuti
8
1969年(昭和44)、写研から万能写植機パボ(PAVO)と新書体「タイポス」の文字盤が発売になった。タイポスは女性誌an・an(1970~)の誌面や、黒柳徹子『窓ぎわのトットちゃん』本文に使われている。タイポスはデザイナーがデザインした、明朝体でもゴシック体でもない、写真植字用のかな書体。この新書体ブームが、まんが吹き出しの「漢字はゴシック、かなはアンチック」のルーツのようだ。だから、金属活字ではやってないはず。うーん、やっとわかったぞ、コレ。2021/01/20
kenitirokikuti
7
図書館にて。まだ読みさしだが、タイムリーな1冊。本書はマイナビニュースに連続掲載された「活字・写植・フォントのデザインの歴史ーー書体設計士・橋本和夫に聞く」を書籍化したもの。橋本氏は石井茂吉逝去後に写研現字制作部門のチーフを務めた。インタビュアー雪氏は1994年に印刷会社に就職、写植からDTPの移行期であった。で、マイナビニュースの編集がこの雪氏にフォント史の調査を依頼。2021/01/20
河村祐介
3
無茶苦茶おもしろかった。職人技とある種のアーティスティックなデザイナー的観点がせめぎ合う、活字〜写植〜フォントに至る書体製作史。2020/11/29