出版社内容情報
「共鳴」が心脳の基礎である。本書は「心脳」のトータルな技術的理解を目指す(心脳とは脳機能の発揮としての心をいう)。〈類似〉が一つの基本原理であり、物や事やヒトに対して、心脳はその類/非類を類似/不類似(あるいは同/異)によって知る。共鳴がどうやって起きるのか、共鳴がどう使われるのか。そのメカニズムの技術的議論が本書の一つの中心テーマになる。
本書の目的は、心脳のトータルな理解である。本書で、心脳の全体を貫く一つの“大通り”について理解できると考える。
現在、技術の側では、ディープ・ラーニングや生成AIの発展によってAIが人間を陵駕する可能性が本気で言われる時代である。それに対して学問の側が、人間と心脳をどう捉えるかを表明することは“社会的にも”意味のあることだと思う。例えば本書はイヌ等の「無言語知能」にも関心をもつ。そこらがヒト心脳の出自であり、基礎である。現在の生成AI等は、言語に偏し過ぎているかに思われる。本研究は実用が目的でない、心脳の理解自体が目的の、全的な心脳論をめざしたい。本書が広く社会に受けとめられることを願う。
【目次】
第1章 総論――心脳内3D空間、類像、共鳴
第2章 推理論――原因追及の推論
第3章 制御論――コントローラはアルゴリズムではない、外界との連動、非手続き性
第4章 物体論――一部/全体則と一部/全部則、要因の分離と主・述の分離
第5章 行為論――行為の要因、行為のモデル、価値
第6章 言語論――メタ、三項関係の捉え直し、類像ベースの言語意味論
第7章 公理論――心脳理論の公理系
付録A 英文アブストラクト(An English abstract)