出版社内容情報
キリスト教史学からテーゼを徹底検証
20 世紀初頭に発表された『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』は、
信仰生活と経済の相関性を結論づけた画期的論考として今なお社会学、経済学、
政治学の学徒の耳目を集めている。近代資本主義のエートスはプロテスタント的禁欲から生じたという〈ヴェーバー・テーゼ〉は、果たして歴史的実証に堪えうるものなのか? そのキリスト教理解は正鵠を射ているのか? この論争の書を、各教派の研究者が最新の研究成果から再照射し、問題提起の正当性を論ずる。2017 年9 月に開催されたキリスト教史学会大会シンポジウムの書籍化。
序 章 キリスト教史学会はなぜヴェーバー「倫理」論文を取り上げるか(大西晴樹)
第1章 M. ルターのBeruf 概念(大村眞澄)
第2章 ヴェーバー「倫理」論文とピューリタニズム(梅津順一)
第3章 ヴェーバーによるドイツ敬虔派の論述(猪刈由紀)
第4章 メソジスト派の記述をめぐって(馬渕 彰)
第5章 「洗礼派」、バプテスト派の記述をめぐって(大西晴樹)
第6章 各章へのコメントと、「倫理」テーゼの再検討の勧め(山本 通)
キリスト教史学会[キリストキョウシガッカイ]
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感想・レビュー
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ikeikeikea
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プロテスタント各派についての研究者が「プロ倫」をキリスト教史の資料や最近の研究から再照射する事によって、ヴェーバーの問題提起の正当性の可否に幾分か答える事を目的としたシンポジウムがもとになった一冊。 私も含めてプロテスタント各派についての知識がないので、テーゼの正当性が判断できなかった人は多いであろう。そのような人の導きとなる一冊。 羽入辰郎が巻き起こしたヴェーバー論争においては、ヴェーバー擁護派も否定派も資料操作が行われた事を前提としており、問題はそれが許容の範囲内か否かであったという事は驚きだった。2018/10/09