内容説明
幼い頃の両親の死、「反革命分子」として受けた想像を絶する迫害、末端権力の腐敗と偽善に振り回される日常…。そうした社会の矛盾に必死に耐えながら、希望を失わず、真摯に自分を見つめ、一歩一歩着実にステップアップしていく阿四(アスー)。通訳となり、結婚し、子どもを生むが、北京で研修中に出会った英語教師と道ならぬ恋に陥り、夫と一人娘を捨てて、カナダに旅立つ。自由と誇りを求めて生きる女性の決意とは?愛と涙と闘いのメモワール。現代中国の荒波に翻弄されながら、たくましく、しなやかに生きた中国人女性の愛と闘いの半生記。
目次
第1章 涙の風―1952~1966年
第2章 カオスの風―1966~1968年
第3章 苦い風―1968~1974年
第4章 変化の風―1974~1978年
第5章 風に向かって―1978~1987年
著者等紹介
イエ,ティンシン[Ye,Tingxing]
1952年上海市生まれのカナダ籍中国人。中国名は葉〓行。資本家家庭出身で、幼時に両親を亡くした後、68年から江蘇省の労働改造農場に下放、反革命分子容疑で迫害されるなど数々の苦難を経験。74年北京大学英語科に入学。78年上海市外事弁公室に配属、外国要人らの接待役を務める。80年結婚、1女をもうけたが、84年~86年北京での研修期間中、カナダ人教師と恋に落ちる。彼の手引きで87年トロントのヨーク大学に単身留学、そのまま帰国せず、89年カナダに亡命。『上海の風』発表後、執筆活動に入り、児童向け小説などを刊行
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