出版社内容情報
デジタル化は本当に私たちを幸福にするのか?
AIとアルゴリズムが消費から投票まで干渉し、あらゆる「無駄(コスト)の削減」を図る現代「デジタル」社会。しかしなぜ、「最適化」された空間でフェイクニュース・陰謀論が跋扈し、和解なき議論が延々と続いているのか? ますます「対話」が困難になり、人々が分断されていく「他者性の喪失」の原因を、デジタル化による「権力支配構造」に見出し、その民主主義への影響を特異な感性で分析する。
『疲労社会』『透明社会』など全世界でベストセラーを出し続けるドイツ在住哲学者ビョンチョル・ハンによる、コロナ以後最新の「時代診察」!
他者の声を聴くこと=「政治」の再建のための哲学的介入
いま世界で最も注目を集め、現代思想界を牽引する哲学者による「聴くこと」の哲学。
アーレント、ハーバーマス、そして東浩紀に至るまで現代の思想・哲学者への幅広い批判的考察を通して、SNSでの「炎上」やフェイクニュース・陰謀論の拡散といった、人びとがデジタル技術によって分断されている事態を分析、民主主義を再建する可能性を探ります。
――「聴くことは、人びとをコミュニティにつなぎとめ、討議を可能にするかぎりにおいて、政治的行為である。聴くことが〈私たち〉を創出する。民主主義とは、他者の話に耳を傾けて聴く人びとがかたちづくるコミュニティである。〔それに対して、〕デジタルコミュニケーションとは、コミュニティなきコミュニケーションであり、それは聴くことの政治を破壊する。そうすると、私たちは自分自身が話すことしか聴かなくなる。これはコミュニケーション行為の終焉であろう。」――(「コミュニケーション行為の終焉」より)
内容説明
AIとアルゴリズムが消費から投票まで干渉し、あらゆる「無駄(コスト)の削減」を図る現代「デジタル」社会。しかしなぜ、「最適化」された空間でフェイクニュース・陰謀論が跋扈し、和解なき議論が延々と続いているのか?ますます「対話」が困難になり、人々が分断されていく「他者性の喪失」の原因を、デジタル化による「権力支配構造」に見出し、その民主主義への影響を特異な感性で分析する。『疲労社会』『透明社会』など全世界でベストセラーを出し続けるドイツ在住哲学者ビョンチョル・ハンによる、コロナ以後最新の「時代診察」!
目次
情報体制
情報支配制
コミュニケーション行為の終焉
デジタル合理性
真理の危機
著者等紹介
ビョンチョル・ハン[ビョンチョルハン]
1959年韓国生まれ。ドイツ在住。1994年にハイデガー研究で博士号を、2000年にバーゼル大学に提出した論文で大学教授資格を取得。バーゼル大学私講師、カールスルーエ造形大学教授を経て、2012年から2017年までベルリン芸術大学教授
守博紀[モリヒロノリ]
2019年、一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程修了。博士(学術)。高崎経済大学・一橋大学・東邦大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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