内容説明
失われた建築二笑亭、半世紀を経てその謎を解明。模型写真、新資料、証言、小説を含んだ決定版。
目次
二笑亭綺譚(発端・電話事件;赤木城吉小伝;二笑亭の由来;異様な外観;不思議な間取;黒板に残された文字;節孔窓;和洋合体風呂;九畳の間;昇れぬ梯子;遊離した厠;鉄板の目隠し;土蔵裏の祠;天秤堂;使えぬ部屋;巨大な擂木;二笑亭主人語録;病気の診断;芸術としての二笑亭;生活の反省)
50年目の再訪記(二笑亭主人遺聞;二笑亭再建せり;小説 毛の生えた星;海外旅行記)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
25
「二笑亭」邸宅の間取りが映像として残されており、イメージがより鮮明に。見果てぬ夢のシンボル。ふと、サグラダ・ファミリアを思い浮かべる。2023/05/30
ROOM 237
13
大事に大事に積読しておいたがとうとう読み終えてしまい、燃え尽き症候群に見舞われ我虚無ナリ。精神異常発病するもインディーズで自邸建築を進行、やり直しや後退で未完のうちに取り壊された顛末に迫る幻の怪建築二笑亭。藤森さんに同意、何で壊したん頭抱えるわ。畳の縁は鉄で冷たそうだし、トマソン梯子とか物が入らない押入れとか、規格外の凝り性だった家主の性質が露呈しまくる生活に不向きな家…ただただ歩き回ってみたいのに、こうして二次元でしか見られず無念。赤瀬川さんの小説と谷口吉郎氏の畏怖に満ちた寄稿が最高、これこそ復元案件。2023/11/15
Ted
2
'89年12月刊。×精神分裂病者が建てた支離滅裂な家で有名な二笑亭の間取図や写真を精神科医が記録に残した本。外部に向って表現された成果物(家具の配置、庭の植栽、絵、服装、建築物など)は、それを考えた当人の頭の中身(精神、センス)を如実に物語る。いくら海外旅行で見聞を広めようが、脳みそが混乱しているとせっかくの知見が融合せずにフランケンシュタインみたいな気味の悪い家ができ上がる。狂人が表現した物には全体的な調和やバランスといったものが決定的に欠けているので一目見ればすぐに分る。ただただ不気味で不快なだけ。2018/02/12
lanikai
1
2013年のNo.1はこの本に更新!なんだこの面白さは。昭和初期に実在した世にも奇妙な家、二笑亭をめぐるノンフィク。底本は昭和12年刊だが今読んでも色褪せない魅力的なドキュメント。金持ちの狂人が作った家は奥行き5cmの押し入れ、高さ2mの帽子掛け、登れない梯子など意味不明のワンダー建築。その意味を50年後に底本著者のご子息が解き明かすくだりは圧巻。ボードレールは「賢者は狂人ほど見事な夢をみない」と言ったが、まさにその通り!逆に精緻な理論の上で作られたと思わせるあたり、著者たちの調査の賜物だろう。興奮した。2013/08/16
えびし
1
昭和初期までに存在した日本のアウトサイダーアート建築とその製作者渡辺金蔵について書かれたもの。建てられた理由はもはやわからないが、それでも理解に努めようとする筆者たちが金蔵の思考を推測する様はおもしろかった。2010/09/15
-
- 和書
- ゴヤ 新潮美術文庫