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内容説明
猫の“気配”をここまで描いた画家がいただろうか。近代日本洋画史に超然たる画風を築いた獨楽の画家・熊谷守一。猫の自由さを愛し、猫が猫らしく生きられるように心をくだき、ともに暮らした日々のなかで描かれた“絶妙なる猫姿”。
著者等紹介
熊谷守一[クマガイモリカズ]
1880年岐阜県に生まれる。裕福ながら複雑な家庭に育ち、のち家の没落にあう。東京美術学校(現東京芸術大学)西洋画科選科卒業。同級生の青木繁と交流。30代の一時期故郷に戻り、山奥で伐採した木を川流しで搬送する日傭(ヒヨウ)の仕事をする。動植物とともに暮らし、その風貌から「仙人」と呼ばれ、生き様、作品、書などが多くの文化人を魅了した。85歳のとき文化勲章を辞退。俗世の価値観を超越した“自由な精神”で、ただ自由に自分の時間を楽しむことを願った生涯だった。1977年、享年97歳
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
90
熊谷守一記念館に行く前の予習で読む。生き物が好きだったんですね。猫の色んな絵をたくさん描いています。身の回りにはいつも猫がいて、猫が過ごしやすいように共に住んでいたのでしょう。だいたいの猫が丸まってるか、寝そべっています。絵はすべてモリカズ様式。息子の黄が撮った、猫と守一が畳の上で並んで、寝っ転がって昼寝している姿がほのぼのする。「自分の分際を忘れるより、自分の分際を守って生きたほうが、世の中にはよいと私は思うのです。」画家のことば通りの人生。明治、大正、昭和と画家として生きて、1977年97歳で死去。2020/08/21
もんらっしぇ
71
「へたも絵のうち」を読みつつ併読&再読。そちらの巻末に、我が敬愛する赤瀬川源平氏が熊谷守一を好きだったそうで解説を寄稿していたんですが、それもまた味わい深い文章でよかったのですけれども…一つ異論を挟むとすると嘗て彼は熊谷守一の絵画を『シンプルな線描』と『塗りえ的な…』という風に捉えていたらしいのが意外で、私自身「シンプルだなぁ」という感想を抱いたことがないもので…そうそう、例えば一方で対局を成すかもしれない絵が、竹内栖鳳の描くところ『班猫(はんびょう)【重要文化財】』ではないでしょうか。→2023/05/19
もんらっしぇ
56
先日、熊谷守一美術館(東京都豊島区)に行ってきました。この本の表紙の白いネコちゃんの異なるポーズの一枚、「白猫」(1959)が一番良いポジションに展示されておりました。「当館の招き猫です」とキャプションが付いていましたwその文言を書いたのが、次女で画家の榧(かや)さん。この方が守一の旧居に「熊谷守一美術館」を創設し、館長となっています。(2007年に豊島区に寄贈し区立の美術館となる)ご存命でなんと当日お話をする機会に恵まれました。→2020/10/11
ぶんこ
52
日本人の好みは「可愛い」が多いと思うのですが、熊谷さんの猫たちは「可愛い」というよりは、いっけん「下手うま」に見えました。それが、じっくり見ていると「ンギャ」と鳴き声が聞こえそう。いい味出てくるのです。絵に添えられた一言も熊谷さんらしい。生活に困窮しながらも家族を愛し、猫、馬を愛する熊谷さん。ご家族は大変だったでしょうに、ご長男のエッセイ?には父への暖かな目が感じられました。97歳、大往生。いい人生だったと思われます。2016/10/26
みどり
21
本日の古本屋巡りで見つけた本。親へのプレゼント。熊谷守一さんの描く猫は、無駄のないシンプルな線で、猫のフォルムをこれでもかというほど捉えていて、見ていて微笑みが溢れるから好きだ。パラパラとひらいていたら「私は生きていることが好きだから他の生きものも皆んな好きです。」という言葉に出くわして、とてもしびれた。こういう魂で生きていきたいなあとつくづく思う。この人の展示にも行きたかったな。熊谷さん夫婦の映画をやっていたことを知らなかったので今度見てみたいな。プレゼントした母親がたいへん喜んでくれてよかった。2018/09/15