出版社内容情報
心の科学の最新知見と,現象学の持つ豊かな理論的考察とを往復しながら,「自己アイデンティティ」の根拠を考える。現象学的な立場から,アイデンティティを「私が私であること」と理解し,根源的な場面まで遡ってその根拠を考える。ラバーハンド・イリュージョン,離人症,ブレイン・マシン・インタフェース,心の理論など,読者の常識を揺さぶるような「心の科学」のトピックを織り交ぜながら,「自己とは何か」についての思考実験を行う。
◆推薦のことば
すべての外皮を剥ぎ取った
根源の自己を開示。
表層的なアイデンティティ論を乗り越えた
果敢な哲学の挑戦。
信原 幸弘(東京大学大学院総合文化研究科教授)
◆主なもくじ
序文 自己アイデンティティをとらえなおす
【第1部 自己の身体性】
第1章 身体と物体
第2章 自己の身体と他者の身体
第3章 鏡に映る身体
●問いと考察
Q 1-1 身体のない自己というものを考えることはできるだろうか?
Q 1-2 身体を部分的に失うと、自己には何が起きるのだろうか?
Q 1-3 死ぬことで身体が失われると、自己はどうなるのだろうか?
【第2部 意識と脳】
第4章 意識・夢・現実
第5章 脳と機械を接続する
第6章 共感覚
●問いと考察
Q 2-1 意識は、脳の活動から生じるのではないのか?
Q 2-2 心は脳に宿っているのではないのか?
【第3部 他者の心】
第7章 問題としての他者
第8章 心の科学と他者問題
第9章 他者理解を身体化する
●問いと考察
Q 3-1 他者理解の発達的な起源はどのようなものだろうか?
Q 3-2 ミニマル・セルフの成立にとって他者は不必要か?
Q 3-3 他者と出会うことで自己はどのように変化するのか?
序文 自己アイデンティティをとらえなおす
【第1部 自己の身体性】
第1章 身体と物体
ラバーハンド・イリュージョン
実験のヴァリエーション
離人症
離人症の「特異な身体経験」
身体は錯覚?
身体の「ここ」性
次章への移行
第2章 自己の身体と他者の身体
身体の麻痺
身体パラフレニア
失認と妄想
させられ体験
イメージと意図
次章への移行
第3章 鏡に映る身体
身体イメージとは何か
視点の問題
チンパンジーの鏡像認知
赤ちゃんの場合
他者・自己・鏡
反省的自己をめぐって
●問いと考察
Q 1-1 身体のない自己というものを考えることはできるだろうか?
Q 1-2 身体を部分的に失うと、自己には何が起きるのだろうか?
Q 1-3 死ぬことで身体が失われると、自己はどうなるのだろうか?
【第2部 意識と脳】
第4章 意識・夢・現実
意識があるということ
「無・意識」
意識と世界
明晰夢
現実
夢見の身体性
目覚めること
第5章 脳と機械を接続する
ロボラット
ブレインゲート
ニューラル・オペラント
BMIと脳の可塑性
意図とは何か
身体イメージを技術化する
第6章 共感覚
共感覚について
声に形を感じる
共感覚の判定基準
共感覚の位置づけ
すべての知覚は共感覚である?
●問いと考察
Q 2-1 意識は、脳の活動から生じるのではないのか?
Q 2-2 心は脳に宿っているのではないのか?
【第3部 他者の心】
第7章 問題としての他者
他者の心の問題
再び意識について
他者の心は存在しない?
心の科学の出発点
類推説の問題点
次章への移行
第8章 心の科学と他者問題
初期の科学的心理学
行動主義
認知科学の成立と心の理論
誤信念課題
他者理解の豊かな回路
第9章 他者理解を身体化する
理論説とシミュレーション説
二人称関係における他者
エナクティヴな間主観性
コミュニケーションの質と身体性
他者理解の身体性と自己
●問いと考察
Q 3-1 他者理解の発達的な起源はどのようなものだろうか?
Q 3-2 ミニマル・セルフの成立にとって他者は不必要か?
Q 3-3 他者と出会うことで自己はどのように変化するのか?
あとがき
参考文献
索引
田中 彰吾[タナカ ショウゴ]
田中彰吾(たなか・しょうご)
1971年生まれ。2003年東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、東海大学現代教養センター教授。2013~14年、2016~17年にかけてハイデルベルク大学にて客員研究員。専門は、現象学的心理学、および身体性哲学。著書『身体の知』(共著,ビイングネットプレス,2015年)、訳書『現象学的心理学への招待』(共訳,新曜社,2016年)、論文Intercorporeality as a theory of social cognition, Theory & Psychology, 25, 455-472(2015)など多数。
内容説明
ラバーハンド・イリュージョン、病態失認、身体パラフレニア、離人症、統合失調症、鏡像認知、明晰夢、ブレイン‐マシン・インタフェース、共感覚、独我論的体験、心の理論、シンクロニー、ミラーニューロン…心の科学のもたらした多様な知見と、現象学の持つ豊かな理論的考察とを往復しながら、「自己アイデンティティ」の根拠をとらえ直す。
目次
第1部 自己の身体性(身体と物体;自己の身体と他者の身体;鏡に映る身体)
第2部 意識と脳(意識・夢・現実;脳と機械を接続する;共感覚)
第3部 他者の心(問題としての他者;心の科学と他者問題;他者理解を身体化する)
著者等紹介
田中彰吾[タナカショウゴ]
1971年生まれ。2003年東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、東海大学現代教養センター教授。2013~14年、2016~17年にかけてハイデルベルク大学にて客員研究員。専門は、現象学的心理学、および身体性哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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