内容説明
華麗な本格。安吾が絶賛した表題作から幻の未完作品まで、全10篇!
著者等紹介
横溝正史[ヨコミゾセイシ]
1902(明治35)年生まれ、1981(昭和56)年没。大正期より執筆活動を始め、伝説の雑誌「新青年」編集長として江戸川乱歩に名作『陰獣』を発表させるなど編集者としても活躍。戦後まもなく『本陣殺人事件』『蝶々殺人事件』という傑作長篇を発表、前者で第1回探偵作家クラブ賞(現・日本推理作家協会賞)を受賞する。以後『八つ墓村』『犬神家の一族』など名探偵・金田一耕助を主人公とする名作群で、探偵小説界の第一人者としての地位を不動のものに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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keroppi
61
由利・三津木探偵小説集最終巻。戦前、戦中、戦後に書かれたものが収められているが、その時代背景が見えてくる。戦後に書かれた「蝶々殺人事件」での会話「計画的な犯罪があるということは、それだけ社会の秩序が保たれている証拠だよ。人間なんていくら殺しても構わないということになれば、誰が何を苦しんで凝った計画なんかたてるもんか。」戦争で自由に書けなくなった横溝の戦争への批判が見てとれる。本作と同時に金田一デビュー作である「本陣殺人事件」が書かれたそうだ。由利・三津木は、未完の作品を残しつつ、幕を引くことになる。2019/06/10
花乃雪音
20
由利先生、三津木記者全集の最終巻、表題作を含む10篇および付録に『神の矢』(「むつび」版)を収録。『蝶々殺人事件』は江戸川乱歩が書いたピアノの中に死体を隠す描写には無理があるがコントラバス・ケースの中になら人を入れることができるという話を横溝正史が音楽学校の生徒である知人から聞いた話をもとに作られた。『蝶々殺人事件』の由利先生から『本陣殺人事件』の金田一耕助へ横溝正史の書く探偵がバトンタッチしたことは知っていたが、2020/06/12
まさ☆( ^ω^ )♬
10
由利・三津木探偵小説集成第4巻、完結です。このシリーズ、ハードカバーで纏めて読めて本当に大満足でした。表題作「蝶々殺人事件」は、読み応えのある長編で面白かった。「神の矢」「模造殺人事件」は、これから面白くなるって所で未完という!?続きが気になるなあ。金田一耕助シリーズもこの形式で出版して欲しい。2022/03/21
岩田貴雄
9
蝶々殺人事件だけは別格の面白さ。菊花大会事件と三行広告事件は戦中作品ということもあって、読んでいて嫌になる感があるが。これで由利先生と三津木記者シリーズは終わって、金田一耕助シリーズとなっていく。しかし、未完の神の矢と、模造殺人事件は続きが、すごく気になるが、もう完結する事が無いのが残念。2020/03/31
engidaruma2006
7
由利・三津木コンビの探偵小説集の最終巻。表題作はこのコンビの長編での代表作であり、文庫やらハードカバーやらで出版されている。昔読んだが再読してみた。 多分、著者の長編では唯一「読者への挑戦」が入った犯人当てミステリだと思うが、左程フェアプレイさは感じない。一風変わったトリックとスピーディーな展開を楽しむ作品だと思う。 ここまでの全4巻でこのコンビの活躍する作品が殆ど読めたのは有難かったが、未完の作品まで収録するのはどうかなあ? 正直、凡作短編もあったし、厳選して3巻にする位が良かった気がする。2019/12/13