出版社内容情報
ユダヤ人はなぜ豚をタブーとし、憎悪するのか。キリスト教徒は豚を食しながらなぜ豚を軽蔑するのか。村々を渡り歩く豚の舌裏検査人や去勢師、子どもと豚の関係、とくに共通する「赤い病」、腸詰に象徴される「血の料理」の光景とその意味。遠い供儀の世界が南仏の農山村を媒介に現代に現出する。西欧社会の深部を照射する現代の奇書。
▼クロディーヌ・ファーブル=ヴァサス=南仏トゥルーズ在住の女性民俗学者、歴史家。ヨーロッパ各地で調査をおこなっている。
▼宇京頼三=アルザスの言語と文化、ユダヤ問題、ナチズムをキーワードとした独仏文化論を専攻。
序文
第一部 類似した存在
第1章 赤男
豚の取引/豚の舌裏検査人/去勢師の季節/過ぎゆく男
第2章 子供の世界
乳児/赤い病/黒胆汁/凶眼/豚飼い少女の時間/去勢師、去勢された者/血の遊戯/「それは豚にすぎない」
第3章 変身の円環
第二 部一つの血から他の血
第4章ユダヤの雌豚
豚の耳/悪臭/赤いユダヤ人/ユダの痕跡/豚の洗礼/小さな違い/吊るされた豚
第5章 赤い復活祭
幼い聖者/血の味/奇妙な赤い人間/血に対する血/泣いて血を流す聖体パン/種なしパンと聖体
第6章 老ユダヤ人と若いキリスト教徒
キリスト教徒の中のユダヤ人/ユダの火刑/「ユダヤ人を殺すこと」/がらがらの音/無辜聖嬰児への回帰/キリストの小さな兵隊
第7章 小ユダヤ人
ユダの週間/キリスト教徒の新鮮な肉とにおい/大いなる闘い/キリストのパン/人間の印し/神の営為、悪魔の役割/分別のつく年齢/二人の赤毛の間で/「ユダヤ病」/暗闇から光へ
第三部 キリストの肉
第8章 豚の復帰
灰と塩/復活祭の小さな豚/子羊の血
第9章 魂と血
女性の役割/仕事中の女たち/魔女の料理/血と乳について/クレープと腸詰/言葉が殺す/変えられた子供、交換された子供/豚の魂
第10章 骨が歌う
小桶の中のユダヤ女(椎骨)/「世界の終り」/死者のための豚肉/死者の声/小指と「小さなユダヤ人」/審判の日/供犠の時期
本書で引用した文献
訳者解説
索引
内容説明
西欧社会の暗部を抉った現代の奇書。ユダヤ人はなぜ豚をタブーとし、憎悪するのか。キリスト教徒は豚を食しながら、なぜ豚を侮辱の対象とし、なぜ豚肉をタブーとするユダヤ人を豚呼ばわりして軽蔑するのか。―遠い昔の供犠の世界が南仏の農山村を媒介に現代に蘇る。
目次
第1部 類似した存在(赤男;子供の世界;変身の円環)
第2部 一つの血から他の血(ユダヤの雌豚;赤い復活祭;老ユダヤ人と若いキリスト教徒;小ユダヤ人)
第3部 キリストの肉(豚の復帰;魂と血;骨が歌う)
著者等紹介
ファーブル・ヴァサス,クロディーヌ[FabreVassas,Claudine]
1944年生まれ。民俗学者。国立科学研究所研究部長、トゥルーズ社会科学高等研究院で、ヨーロッパの民俗学を講じている。現在は、古今の演劇形態を調査しながら、儀式と演劇、そこに現れた人物、人間像の研究に従事している。主要著書・論文に『料理・食物・テーブルマナー』、「子供・かまど・豚」(『アルプスとローヌの世界』所収)、「豚の周りのユダヤ人とキリスト教徒」(『ヌーシャテル民族学研究所論集』所収)、「死者のための豚肉」(『農山村研究』1-6月号所収)、など多数。なお、『豚の文化史―ユダヤ人とキリスト教徒』が著書中における初めての邦訳本である
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