出版社内容情報
あらゆる機会に人は無自覚に国民国家に回収され続けている。そこから自由であることの不可能を自覚しつつ,「非国民」としてしか自由を味わえない状況を執拗に抉る。「謝罪主体の構築」という古くて新しい国民主義に対するプロテストの書。
内容説明
危機に瀕する、国民国家ニッポン。脱=国民化を目指すための基礎講座。
目次
戦後50年と、ある非国民のつぶやき
一九九五年八月の幻影、あるいは「国民」という怪物について
「国家理性」にかんする一考察
国民化と時間病
国民文学の脱構築
漢字文化圏における文化研究
国民国家と異文化交流
国民国家の形成と自由民権運動
国家とナショナリズムをめぐる三つの断章
日本におけるフランス革命
フランス革命と国民統合
国民崇拝の祭儀と神学
戦後社会思想の転換
おわりに―国民国家論から見た「戦後」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えんさん(연싼)@読書メーター
2
国民をつくることは、非国民を同時に作り出すことになる。それは国家から多文化共生という言葉が発せられるときも同じだと西川は指摘している。自国の文化を中心に置きながらも、他者の存在がなければ比較し、誇ることもできない。「日本はすごい!」と謳うメディアが多出している今日、自国が凄いと誇れるのは、他国がいるからこそ成立していることを自覚すべき。2016/01/09
真夏みのり
0
近代国民国家はつねに一元的な統合への強い力が働いている。そのような国民国家の中で、近代文学というのは国民的、つまり国民国家を映し出す文学である。……2011/11/30