内容説明
離婚して、都内のアパートに一人で暮らす田宮真澄、五十歳。ある日、パート先から自転車で帰る途中、何かをひいてしまった。猫だ。動物病院へ連れていくべきか、このまま行ってしまおうか―迷っているところへ別の三毛猫がやってきて、咎めるように鋭く鳴いた。真澄は、仕方なく猫を病院へ連れていき、迷いながらも飼うことにする。一方、拾われた猫は、真澄からある匂いがすることに気づいていて…。人と猫の温かな絆が生んだ大きな変化を描く、涙あふれる物語。
著者等紹介
矢崎存美[ヤザキアリミ]
埼玉県生まれ。1985年、星新一ショートショートコンテスト優秀賞を受賞。1989年に作家デビュー。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mae.dat
243
シリーズ第4弾。人は後悔ばかりするけど「猫は後悔しない」って良いですね( ¨̮ )。矢崎さんの本は薄目の様ですね。これ迄のシリーズは、その薄目な1冊に数話納められていました。今作は、視線の変化で章が切り替わるけど、一冊を通じての長編(?)となっていました。そしてシリーズの中でも一番良かったよー。福猫ミドリと生活をする様になったらね、悪い人間関係は断ち切るしさ。猫仲間コミュニケーションを築くし。自身の過去の言動を省みてね、途切れてしまった関係を修復し、諍いを清算するよ。勿論ミケさんのアシストもナイス。2023/10/25
小梅
133
シリーズ4作目。主人公の女性は、無自覚で家族や友人を不快にしていた。ああ、これでは離婚されても子供が寄り付かなくても自業自得かな…と思う。でも、自分だって知らず知らずのうちに他人を傷つけている事は多々あるだろうと思う。人間は猫より寿命が長いのに後悔する。長生きだけが幸せじゃない。2020/10/17
ぶち
116
離婚したばかりの中年女が人間側の主人公です。夫ばかりか、自分の子供たちや親友からも愛想をつかされてしまう性格の持ち主。無自覚に相手を傷つける言動をとってしまう、成熟できていない中年女性なのです。読んでいて徐々に心が重くなっていきました。それは、自分自身の姿と重ね合わせ、そして自身の未熟さを再確認させられしまうから。 でも、エンディングではシリーズの他の作品と同様に、飼い主と猫との温かい絆と愛に、心がほぐれていきます。そして、本を閉じて表紙の絵を見たとき、涙腺が崩壊しました。2019/10/16
みかん🍊
106
今回はいつもと違い、一人の女性と娘と猫の視点で描かれるミケさんの導きにより離婚され一人暮らしの女性の元で飼われるミドリ、猫好きでもなく仕方なく引き取っただけだったが福猫のミドリと一緒に暮らすうちに自分の悪い事を認め他人に感謝したり謝ったり出来る様に変わって行く、もう後半は泣けて泣けて仕方なかった、人間は後悔するが猫は後悔しない、幸せだったことだけ覚えていれば十分、猫を飼えば人は幸せになれるから猫も幸せになれる2019/10/25
ままこ
100
シリーズ4作目は長編。自業自得から陥った寂しい人生。主人公と年齢も近く自然と感情移入。後悔するだけではなくふてくされず反省したことを自分なりに改める努力をした真澄はよく頑張ったと思う。ミケさんが真澄を選んだ動機の場面に胸を打たれる。不器用なもの同士のミドリと真澄。出会えてほんと良かった。麻利衣の複雑な葛藤する気持ちもよくわかる。温かくてとても切ない。ゴロゴロ、ふみふみ、ゴロゴロ…。読み終えて涙がポロポロ。2019/11/08