内容説明
一七世紀オランダで、陶器の名産地として栄えた港町・デルフト。父の死をきっかけに故郷へと戻った二〇歳のヨハネス・フェルメールは、幼馴染のレーウことアントニー・レーウェンフックと再会する。学問を志すも家庭の事情で叶わなかったレーウは、かつて友と交わした約束を忘れずにいた。一方ヨハネスは、のちに妻となる女性と運命の出会いを果たす。そのころ、街では陶工が次々と姿を消して―。角川春樹小説賞受賞後第一作。美しきミステリー!
著者等紹介
櫻部由美子[サクラベユミコ]
大阪府大阪市生まれ。銀行員、会社員、医療関係の職業などを経て、2015年に『シンデレラの告白』で第七回角川春樹小説賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
65
フェルメールファンにとっては物足りないかもしれないが、私にとってはとても充実した楽しい読書時間を過ごせた。フェルメールの遺産管財人になったレーウェンフックが幼馴染の親友として最初から登場しているのでデルフトの街で生まれ育った2人の少年の成長物語として楽しめる。フェルメールがレーウに贈った一個のレンズが光の画家と微生物の父の原点として効果的だ。妻・カタリーナはフェルメールの絵の雰囲気の漂う蠱惑的な女として描かれているので脳内に絵を思い浮かべながら読むことができた。2022/10/17
akio
40
デルフトを舞台に若きフェルメールと仲間たちの姿を生き生きと描いた物語。不勉強なのでレーウェンフックがフェルメールのすぐ側で同い年として過ごしていたとは知りませんでした。もしかしたらこの物語のように固い友情で結ばれたふたりだったのかもしれませんね。フェルメールの名画を思い起こさせるシーンもそこここにあり、もしかしたら…と思えるのもフェルメール好きにはたまらないかも。ただ、奥さんの設定は最後まで謎というか必要だったのかと…。それならそれで後半、もっと掘り下げて欲しかったように思います。2018/11/21
つぼ
33
有給休暇をとってフェルメール展へ行ってきた。かなり混んでいたが・・その作品のすばらしさに魂が震えた!・・って、これは本の感想じゃないな・・2018/11/08
むっちゃん✿*:・゚
31
フェルメールが幼い頃近所のガキ大将タイプだったとは知らなかった!フェルメールの幼馴染みとして登場するレーウェンフックが顕微鏡の父と言われる偉大な人だということも知らなかったし、(実在の人物かググった(笑))マハさんあるあるのフィクションとノンフィクションのはざまをユラユラ出来た。光の魔術師と言われるフェルメール光を手に入れるまでの話や、あ!これはこの絵の話だ!と素人にも分かりやすく描写されていて楽しかった。一応ミステリーと銘打ってあるが、ミステリー部分はなくても良かったかな?と個人的には思う。2019/10/15
to boy
28
17世紀フェルメールが住んだデルフト市を舞台に友達たちとの交流、東インド会社の繁栄、陶磁器をめぐる事件など、まるでその場にいるような臨場感ある書き方で楽しめました。青いターバンの娘と一緒にいる老人が意外と重要だったんですね。のちに「微生物学の父」と呼ばれる同級生レーウとの交流が暖かくて微笑ましい。2018/09/24