年輪で読む世界史 - チンギス・ハーンの戦勝の秘密から失われた海賊の財宝

個数:1
紙書籍版価格
¥2,970
  • 電子書籍

年輪で読む世界史 - チンギス・ハーンの戦勝の秘密から失われた海賊の財宝

  • ISBN:9784806716211

ファイル: /

内容説明

年輪年代学の第一人者である著者が、世界各地で年輪試料を採取し、年輪からさまざまな時代の地球の気候を読み解いていく。年輪には、気候が人類の文明に及ぼした痕跡が、はっきりと刻まれている。年輪を通して地球環境と人類の関係に迫る、全く新しい知見に触れる1冊。

目次

序章

第1章 砂漠と天文学と年輪
砂漠で年輪研究?
太陽活動と樹木
古代プエブロ人遺跡は語る
女性研究者はつらいよ

第2章 アフリカで年輪を数える
タンザニアで初の試料採集
試料採集のやり方
年輪研究に最適な樹木とは

第3章 ギリシャ神の名を持つ長寿木
古い樹木に狙いをつける
樹齢1075年の木に挑む
自然遺産木の曖昧な樹齢
長寿木の呪い
世界各地の長寿木

第4章 年輪が語る驚愕の事実
年輪を観察する
年輪シグナルとクロスデーティング
まぎらわしい欠損輪と偽年輪
ドイツとアイルランドのブナ類の年輪シグナルが一致する謎
年輪研究で南極大陸に森林があったことが明らかに

第5章 石器時代、感染症、難破船と年輪
放射性炭素同位体年代と年輪年代の精度
ローマ時代のカシ材の発見
法隆寺のヒノキの新事実
年輪年代学で美術工芸品製作年代の推定
ヨーロッパの建築ラッシュと感染症流行

第6章 真実を葬ろうとする政治家たち
男性研究者たちの意地の張りあい
年輪を使った気候復元がつきつけたこと
気候学に対する政治弾圧

第7章 鍾乳石と年輪から見るヨーロッパの気候変動
気温観測の歴史
気候変動の3つの要因
中世温暖期と小氷期
ヨーロッパの気候を支配するもの
アイスランド低気圧とアゾレス高気圧の渦
ネイチャー誌から原稿却下をくらう

第8章 中世北ヨーロッパの寒冷気候
過去1000年の文書に記録されたもの
氷河がもたらした悲劇
小氷期のヨーロッパの勝者と敗者

第9章 ハリケーンの発生を予測できるか
年輪以外の代替指標
500年ぶりの少雪の衝撃
海難事故とハリケーンと樹木の成長抑制
海賊の黄金時代とマウンダー極小期の一致

第10章 突発的激甚イベントと年輪
地震と年輪
チェルノブイリ原発事故とツングースカ隕石爆発による年輪異常
火山噴火と太陽のスーパーフレアがつくった霜年輪
775年の年輪に記録されたスーパーフレア

第11章 ローマ帝国の分裂と崩壊をもたらした寒波と感染症
すべての道はローマに通ず
マラリアの蔓延
火山噴火とペストの感染爆発

第12章 王朝の興亡と気候変動
温暖な気候とモンゴル帝国の台頭
ウイグル帝国と旱魃
クメール王朝崩壊をもたらした季節風
風土病「ココリツトリ」と旱魃

第13章 アメリカ南西部の古代遺跡と巨大旱魃
アメリカ南西部の古代史研究
建築資材の年代と調達場所をつきとめる
建築ブームと大規模旱魃
大規模旱魃が起きたのは夏か? 冬か?
年輪データを活用して大旱魃に備える

第14章 地球をめぐる風
ジェット気流がもたらすもの
蛇行するジェット気流と異常気象
熱帯域の拡大と明朝、オスマン帝国の崩壊
エルニーニョとラニーニャの変動

第15章 アメリカの森林火災史と旱魃
カリフォルニア州の森林火災
年輪が記録する森林火災
アメリカ林野局設立とスモーキーベアの功罪
伝道所開設と先住民の大量死
シベリア、サハ共和国での苛酷な野外調査

第16章 これからの地球環境と年輪年代研究
ホモ・ハイデルベルゲンシスがつくった木製槍
1本残らず木が切られたイースター島
産業革命後の炭素循環の劇的変化
地球環境を変えた人新世
気候変動に立ち向かえ、年輪年代学研究者

プレイリスト
樹木の和名と学名の一覧
用語集
参考文献
推薦図書
索引
訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yyrn

23
関心のある分野の本はたくさん読んできたので、もうたいがいの事は(浅学ながら)驚かず、読書の楽しみの一つである知らなかったことを知る機会がどんどん少なくなってきたなあと思っていたら、久しぶりに最初から最後まで面白い本に出会えた。▼寿命が5000年の樹木があることにも驚くが、さらになぜ年輪から1万5千年前まで気象の推移が正確に遡れるのか?その解明にも唸ったし、お読みいただければ年輪年代学の新分野を切り開いてきた研究者たちの興奮が一緒に味わえると思う。以前、海洋大循環の本を読んでその影響力の大きさに驚いたが、⇒2021/08/24

Wataru Hoshii

3
年輪年代学の第一人者による入門書。タイトルに惹かれたが、世界史への考察は本書のほんの一部に過ぎない。この学問の成り立ち、具体的な調査方法、得られる気候研究の知見、他の気候研究方法との協力でわかること、歴史的な出来事への考察、地球温暖化への警鐘と対策案まで、フィールドワークでのエピソードを絡めながら、まさに「年輪年代学の全て」という感じ。産業革命以来の温暖化は年輪が明白な証拠であることを実感。そしてヨーロッパ最古の木は樹齢1000年ぐらい、世界最古は樹齢5000年ぐらいというのは、ちょっと意外な感じ。2021/11/03

Jau

1
面白いけど、文が長い! 欧米の博士課程の世界って、冗長に書くことが荘重だという文化でもあるんかな?と想像してしまう(他の本からも)。 「年輪ですべてが分かる」わけではなく、 考古学の史料に、他の角度からの情報になったり、歴史上の記録をその理由を推論したり。 若かりし著者の学生時代からの、研究者への道を拓く苦労話と、交じり合わせて書かれているのも、面白い。2022/04/07

Go Extreme

1
砂漠と天文学と年輪 アフリカで年輪を数える ギリシャ神の名を持つ長寿木 年輪が語る驚愕の事実 石器時代、感染症、難破船と年輪: 放射性炭素同位体年代と年輪年代の精度 法隆寺のヒノキの新事実 真実を葬ろうとする政治家たち 鍾乳石と年輪から見るヨーロッパの気候変動 中世北ヨーロッパの寒冷気候 ハリケーンの発生を予測できるか 突発的激甚イベントと年輪 王朝の興亡と気候変動 アメリカ南西部の古代遺跡と巨大旱魃 地球をめぐる風 これからの地球環境と年輪年代研究2021/08/13

takao

1
ふむ2021/07/22

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/17908002
  • ご注意事項

最近チェックした商品