内容説明
短期現役士官制度に応募して海軍主計士官となった池崎幸一郎は、戦艦榛名に配属された。山本五十六連合艦隊司令長官の視察を控え、運び込まれたはずの野菜の箱が一つ紛失したことが彼に報告される。銀蠅(海軍での食糧盗難)かと思われたが、食材箱の総数は合い、破壊工作の疑いが生じる(第一話)。一方、駆逐艦岩風が救助した陸軍兵士の行方不明事件(第五話)はやがて他の事件と結びつき―。鋭い推理力で軍艦内事件を解決し、図らずも「軍艦探偵」と呼ばれた海軍士官の活躍を描く軍艦ミステリーの登場!!
著者等紹介
山本巧次[ヤマモトコウジ]
1960年、和歌山県生まれ。中央大学法学部卒業。第13回『このミステリーがすごい!』大賞隠し玉として、『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう』(宝島社文庫)で2015年デビュー。鉄道会社に勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ち~
34
面白かった!!太平洋戦争前後。海軍主計士官・池崎幸一郎が軍艦内で起こる様々な事件の謎を解く連作短編。起こる事件が軽いので楽しく読めるが、後半、昭和18年になり戦況がきな臭くなると、別の面白さも出てくる。池崎が、色んな軍艦に転勤となるので、各軍艦の特色も面白い。5話目で解きそびれた謎を6話目でも持ち越し、昭和30年を書いたエピローグで終結させるところも良かった。2019/06/16
ぷにすけ
22
昭和15年、戦争前の海軍に事務方として入隊した 池崎 は、密室ともいえる軍艦の中で起こる奇妙な事件を解決して行く。やがて探偵として海軍の中で名前が広まって行くが、日本も戦争に突入し 池崎 も戦火に巻き込まれて行く。呉 が最初の舞台とあって楽しめました。戦時中になってからは、残念ながら事件に死人が出るようになってしまいましたが、最後がほっこりさせる?シーンで終わり良かった!池崎 の次の出番が見たいですゾ! 2020/01/19
geshi
21
軍艦を生活の場と見做すことで日常の謎が成立し、いざ戦いとなれば究極の状況でのミステリにもなれる舞台のキメラ性が強み。一方、池崎が探偵できる理屈が外側の目を持っているからというだけでは弱い。いくらでも活かせるキャラ(特に三洋丸艦長の福原)がいたのに使い捨てなのは設定上やむをえないのだが…。謎解きにプラスして事件をどう着地させるのか?に優しさが見えるので挽回している。ラストの二段三段構えの真相解明は「まだ行くか」と嬉しくなるし、背景だった戦争の無慈悲さと結びつき、余韻を残す幕切れも良い。2018/05/17
み
20
う〜ん、軍艦内のプチ謎解きかと読み始めたら、殺人まで(^^; 戦争はヤです。2021/01/03
二分五厘
18
短期現役仕官として、海軍主計仕官として任官した池崎幸一郎。軍艦から軍艦へと渡り歩く彼の二年間の事件簿。軍艦の中だろうと戦時だろうと、そこに人が居る(女は居ないけど)からには、生活がある。だから娑婆の町と同じように、ここでもいろんなことが起こるのだ。とはいえ、食料泥棒にスパイ疑惑、幽霊騒動に謀殺と、やはり戦時ならではの事件ばかり。それを通して、いつしか老成してしまっている乗組員や池崎自身。プロローグとエピローグの駆逐艦『蓬』の姿が、池崎の戦争を終わらせる。2019/08/14
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