内容説明
大坂天満の呉服商「五鈴屋」の女衆だった幸は、その聡明さを買われ、店主・四代目徳兵衛の後添いに迎えられるものの、夫を不慮の事故で失い、十七歳で寡婦となる。四代目の弟の惣次は「幸を娶ることを条件に、五代目を継ぐ」と宣言。果たして幸は如何なる決断を下し、どのように商いとかかわっていくのか。また、商い戦国時代とも評される困難な時代にあって、五鈴屋はどのような手立てで商いを広げていくのか。奔流に呑み込まれたかのような幸、そして五鈴屋の運命は?大好評シリーズ、待望の第三弾!
著者等紹介
〓田郁[タカダカオル]
兵庫県宝塚市生まれ。中央大学法学部卒。1993年、集英社レディスコミック誌『YOU』にて漫画原作者(ペンネーム・川富士立夏)としてデビュー。2008年、小説家としてデビューする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Yunemo
643
うーん‼ 男の嫉妬、ありますね。男の私自身が感じるのだから間違いなく。なんだか今の国の政策、女性の管理職を増やそう!確かに否定する気はさらさらありません。でもどこかが違うんですよね。幸の純粋な商売に対する発想、現代の組織の中でも、間違いなく疎んじられます。この点が変わらなくちゃ。とは言いますが、自身でそんなに自信が持てなくて。いろんなプレッシャーにさらされた男の変化がここに記されています。商いの本道、血の通わぬ金銀に命を吹き込むのがほんまものの商人、商いから情を一切抜いてしまったら、等々これが商売の道標。2017/04/30
鉄之助
546
主人公・幸(さち)のアイデア商法が、いよいよ花開いていく。広報宣伝、が功を奏して店の名も、世間に広まっていくが、劇的な展開だった1、2巻に比べ、ちょっと物足りないかも…、と思っていたら、最終章の最後10ページ余りで、急展開。さすが、高田郁。次巻以降に期待が高まった。2019/07/08
yoshida
516
四代目徳兵衛の死。幸は惣次に嫁ぎ、惣次は五代目徳兵衛となる。惣次の進める五鈴屋改革と幸の商才もあり、五鈴屋は息を吹き返す。江戸に店を出す野望を持つ惣次は、商売から情けを切り捨てる。また、己れの商才を恃むあまり、独善的となり幸や富久の言葉も遠ざける。惣次が近江の寒村を絹織物の産地として囲い込む策は、投資ではなく搾取であった。強引な手法に、近江の村は五鈴屋との取引を拒む。惣次の手法が、現代で言う多重下請けやファストファッションの問題と重なる。惣次の商売は「アコギ」なものとして信を失う。いよいよ幸の出番となる。2017/09/24
しんごろ
511
世の中そんなに甘くない!そう思わせる今作でした。惣次も店を大きくすることばかり考えて、視野が狭くなったようだ。それから女性を殴ったら駄目だね。プライドが高いし、こりゃ、まだまだ難儀が続くな。惣次よ!幸と一緒になった時を思いだしてくれ!「初心忘るべからず」というやつですな。幸は、これから先も大変だと思うが、商い戦国時代の荒波をのりこえてと応援したいです。2018/08/13
た〜
450
話は色々とトントン拍子に進むし、惣ぼん商才はあるし愛妻家だし実はかなりの優良物件?と思いきや、徐々にほつれが見え始め、ラストで一気に決壊。この物語は次巻からがようやく本番ということだろうか?2017/02/19