内容説明
呉服太物問屋の若旦那・綾太郎は、着物の染み抜きなどをなんでもこなす着物始末屋・余一のもとへ打掛の始末を頼んだ。毛嫌いする余一を困らせようと、生地が弱りすり切れた打掛を渡したのだが、その仕上がりは非の打ちどころのない出来栄えだった。余一に対して、何としても一泡吹かせたいと願う綾太郎。そんなある日、彼は古着屋の六助を伴い、余一に想いを寄せるお糸の飯屋を訪れた。血の気が多い職人や人足などの男達を前に、てきぱきと働くお糸を見て、綾太郎は彼女に惹かれはじめるが―(「藍の糸」より)。大好評、連作短篇時代小説。待望の第二弾!!
著者等紹介
中島要[ナカジマカナメ]
早稲田大学教育学部卒業。2008年、「素見(ひやかし)」で第二回小説宝石新人賞を受賞。若き町医者を描いた初長編『刀圭』でデビュー。受賞作を含む短編集『ひやかし』を刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
136
着物始末暦「藍の糸」2 巻。着物のを介して、主要な登場人物の素顔と、主人公余一の過去や、かかわり合い等々が明らかに良いシリーズです。2015/02/19
新地学@児童書病発動中
120
着物始末屋という一風変わった職業が出てくる連作の時代小説。ぶっきらぼうながら、筋を通すべきときはきちんと通す主人公の余一は魅力的な主人公。この小説のもう一つの魅力は、あまり馴染みのない江戸時代の着物のことが詳細に書かれていることだと思う。高田さんの『みをつくし料理帖』が食の話なら、こちらは衣の話と言えるかも。唐子と呼ばれる着物の模様のことはこれを読んで初めて知った。着物を通して人と人の絆を描く物語の中に、しっとりした江戸情緒を感じることができた。2014/05/27
藤枝梅安
110
シリーズ2作目。それぞれ癖のある登場人物が物語に真実味を与える。お糸と幼馴染のおみつ、二人ともそれぞれに長所と短所を持つ。おみつの奉公先の娘・お玉もわがままな娘だ。3人のわがまま娘と、きもの始末職人の余一の不安定な関係。それを知ってか知らずか、余一は自分の仕事を第一に考える。親の愛情を知らずに育った余一は、親子の情を知らないどころか、親子の情の裏までも見通すことが出来る。着物の糸を解きほぐす様に、余一は着物にまつわる事件を解きほぐしていく。それを通じて余一の生い立ちや思慮深さが少しずつ浮き出てくる。2014/09/21
小梅
91
着物始末シリーズ第2弾。余一カッコ良すぎます。良いですね〜お糸は可愛いです。でも、お玉が一番好きかも(*^_^*)2014/10/25
myunclek
90
天涯孤独な余一。訳ありながら男前。人とは必要以上の関わりを保たないが、ここ一番では見事な始末。女がほっとく訳無いよな^o^心底惚れられてるにも関わらず、幸せに背を向ける。過去に拘らず、新しい生活を始めて幸せになれば良いのにと、自らの始末に踏み出せない余一に少々苛々。2016/02/21