内容説明
初期の作品からことばあそびうた・わらべうた、ノンセンス詩をはじめ、「鉄腕アトム」の歌や幼年・少年少女のつぶやきの詩まで、著者が自分の中の子どもをいまの子どもたちにかさねて詩にした一二九篇を厳選。知らなかったらもったいない文庫オリジナル。
目次
『十八歳』
『日本語のおけいこ』
『誰もしらない』
『どきん』
『ことばあそびうた』
『ことばあそびうたまた』
『わらべうた』
『わらべうた続』
アニメ「鉄腕アトム」テーマ曲
『谷川俊太郎 歌の本』〔ほか〕
著者等紹介
谷川俊太郎[タニカワシュンタロウ]
1931年、東京都生まれ。1950年12月、『文學界』に「ネロ他五篇」が三好達治の推薦で掲載されて、詩壇デビュー。1952年、第一詩集『二十憶光年の孤独』を刊行。以来、日本を代表する詩人として活躍し、その詩は英語、フランス語、ドイツ語、デンマーク語、中国語などに訳され、世界中に読者を持ち、朗読活動も行っている。詩のみならず、翻訳、絵本、脚本、作詞など、活動は多岐にわたり、『マザー・グースのうた』で日本翻訳文化賞、1982年、『日々の地図』で読売文学賞、『はだか』で野間児童文芸賞、『世間知ラズ』で萩原朔太郎賞など、受賞歴も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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クプクプ
76
ひらがなの詩が多かったですが、谷川俊太郎が子供向けに書いたのではなく、谷川俊太郎の中の子供の部分が詩になった、全体として大成功の詩集です。いい意味で言葉が尖っていました。アニメ「鉄腕アトム」テーマ曲は、作曲、高井達雄、作詞、谷川俊太郎で1963年に作られたそうです。私が生れる前ですが、詩を読んで鼻歌を歌えました。一番印象に残った詩は「わかばのけやき」です。ひらがなだけで、けやきの四季を描いています。例えば渋谷の街路樹はけやきが主で画一的ですが、それを詩にしてしまう谷川俊太郎の感性は見習いたくなりました。2023/02/07
ミキティ
7
すごい。私が一点でしか見ていない物事を上下左右180°360°深く深く見つめていて、その詩にうなづいたりうなってみたり。とても難しい。私の想像力や感性ではまだまだ深い理解に行きつくことができない。ことばあそびは楽しかった。声に出して読んでみて、ひらがなばかりのその詩に苦笑。ぼく、おかあさん、ともだち、むし、空や石、草や花などなど不思議なものから楽しいもの、それはとてもとても深かった。2025/02/12
しん
4
詩は難しい部分もあるけれど、その言葉のリズムや流れ、それから雰囲気を楽しめたらいいのかなと思う。その上で、心にずっと残る詩がひとつか、ふたつ、それでいいかな。2010/08/04
K Fussan
2
追悼。やっぱり、スゴい人だ。情景が目に浮かぶ。そして、(概ね)優しさにあふれている。ブラックなものは心に訴えかけてくる。時代背景もあって一部、不適切な表現もあるが、今となってはご愛嬌ということで。 鉄腕アトムは生まれる前の歌だが、大人になった今、じっくり歌詞を見ると、非常に美しい構成になっていて感服。 ぼくはよんだ ぼくはかんがえた どこからきて どこへゆくのかと ぼくはぼくをみつめた2025/02/03
恋
2
現代詩の本をはじめて読んだ。これは存在できない子供が書いた作品だ。この詩集の字はほとんどひらがなで、子供に薦めたい。谷川俊太郎さんを探せば確かにそこに浮かび上がる少年像が見える。しかし言葉を子供の儘に遊び尽くす谷川俊太郎さんとは、どのような作家なのか。作者は、現代詩が音韻性を失い、個性を重視したため読者を減らした、と語っているそうだ。そのため、この詩集の主人公は無名の子供であり、それはそれは、恐ろしいことに、普遍的な子供の感性を書いている。この頼もしい無名の感性は私たちをいつも支えている。ぜひ見つけたい。2018/02/09