内容説明
古きよき日本が急速に姿を消していった一九五〇年代、山本周五郎はさかんに江戸の物語を世に送り出した。頑固で寡黙な職人、適度な距離でご近所と関わる長屋の住人たち…貧しさを恥じず、切羽詰まった事情や感情を抱えながらも愚直に日々を送るほんの昨日までの日本人の姿が、江戸の町人を主人公に描き出された。再び世の価値観が大きく動いているいま、「柳橋物語」「さぶ」「おさん」「虚空遍歴」をはじめとする周五郎の江戸もののなかに、本来の日本人の姿を探り出す。
目次
序章 江戸は不変のユートピア
第1章 周五郎の江戸―「柳橋物語」
第2章 水の情景―「下町もの」運命の場
第3章 江戸ではない江戸―『さぶ』
第4章 江戸に戻る旅―「おさん」
第5章 江戸を遠く離れて―『虚空遍歴』
終章 町人たちの江戸
著者等紹介
竹添敦子[タケゾエアツコ]
1953年、和歌山県生まれ。関西大学大学院文学研究科独逸文学専攻修了。三重短期大学教授。1991年より山本周五郎の研究を始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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