出版社内容情報
松前家中の少年、春山伸輔は、尊皇攘夷に与しなかったことで落ちぶれてしまった家名を復権させるべく、箱館の遊軍隊と合流。
榎本軍への撹乱活動を行っていた。
一方、新選組副長だった土方歳三は、蝦夷地にできた箱館政府において陸軍奉行並となっていた。
市中の混乱を収めつつ、近藤勇らと夢見た国盗りを、再びこの地で実現させようとしていた。
薬売りに変じて市中見廻りに出ていた土方歳三は、撹乱活動中だった伸輔と偶然にも知り合うことになる。
互いの正体を知らないままに、知遇を得た二人。
だが激化する戦いが、やがて二人の運命を切り裂いていく。
内容説明
松前家中の少年、春山伸輔は家名を復権させるべく、新政府の遊軍隊と合流。榎本軍への反乱活動を行っていた。一方、新撰組の土方歳三は、かつて近藤勇らと夢見た国盗りを、箱館政府によって実現させようとしていた。相反する二人の運命の出会いを圧倒的スケールで描く歴史小説の登場!
著者等紹介
谷津矢車[ヤツヤグルマ]
1986年東京都生まれ。駒澤大学文学部歴史学科考古学専攻卒。2012年「蒲生の記」で第18回歴史群像大賞優秀賞受賞。2013年『洛中洛外画狂伝 狩野永徳』でデビュー。著書に第7回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞した『おもちゃ絵芳藤』などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
170
そうか、谷津さんが土方を、あの頃の箱館を描くとこうなるのか・・松前家中の信輔と函館といえば高田屋嘉兵衛その子孫・お雪を絡めての本作は私の想像とは違ったが、これはこれで有かとも思った。ただ、何に重きを置きたかったのか?それがぼやけてちと残念(私の読み方が浅いのかもしれないが・・汗)戦と言うのはいつの世も何処でも、人々が暮らしを営む土地を破壊するよね。力でしか得られぬものはいつか力で滅びるだろう。だが人の繋がりは想いは、絶えることなく時を超える。そうして私達はここにいるのだ。そんな事を思った。2022/02/01
ゆのん
65
時は明治元年、舞台は箱館。榎本軍と薩長政府による戦に翻弄される少年・春山伸輔と土方歳三の物語。歴史小説を読む度に思う事がある。史実って真実なのだろか?証人はいないし、立場が違えば善も悪、その逆も然り。谷津矢車作品はそんな私の胸の内を満たしてくれる。こうだったかも、こんな気持ちや思いだったかもと楽しい空想が止まらない。今作で一番のお気に入りは逃げる伸輔の前に立ちはだかる敵、敵、敵。そして己の居場所について苦悩する土方歳三の格好良さ。武士の忠から何にも縛られない自由を少しづつ知り成長する伸輔の姿も良い。2021/12/13
ポチ
51
函館での土方と元松前藩士伸輔の、其々の視点での話。土方歳三はやっぱり土方歳三だったなぁ。2022/01/02
Die-Go
45
図書館本。新選組副長土方歳三と、箱館で彼に敵対する旧松前藩士春山伸輔の物語。彼らの邂逅は箱館戦争の激流に翻弄されつつ、その運命を収束させていく。土方歳三はステレオタイプな感じであり、そこまで独創的ではなかったものの、こういう箱館戦争ものもありかなと思わせる。★★★☆☆2022/01/15
aloha0307
32
徳川の世が終わり、明治へと向かう時代の流れの中の函館 新選組副長:土方歳三と松前藩の少年伸輔の物語 あの"'燃えよ剣"以来の躍動感であった🌟 土方の敵は薩長ではなく、「居場所がない」「小さき者」だったのだ。終章「己に向けられた掛け値無しの笑顔は、何よりも温かい」〜この下りに、奥さんへの感謝が押し寄せました🌸🌸2022/04/29