内容説明
「1近世都市大坂の形成と三郷惣年寄」「2町(住民生活の基礎単位)」「3仲間」に分けて、基本史料を一点一点読み解きながら、近世大坂の歴史像を理解することをめざした。1では、大坂三郷の形成過程や惣年寄の役割を示す絵図や史料。2では、町の空間・人別・運営に関する史料。3では、営業にかかわる株仲間だけでなく、宗教者・非人などに関するものなど、幅広い史料を取り上げた。当時を生きた人々の“人間存在”を実感を持って理解するには、人々が残した史料を読み解くことが最も確実な方法である。しかし、江戸時代の史料を読み込むのは容易ではない。そこで、基本史料について、写真版を掲載し、釈文(翻刻)・読み下し・現代語訳を示したうえで、その史料の背景、読み取れる論点、近世大坂の中での位置づけを解説している。そこでは最新の研究成果も紹介している。近世大坂は、現在の都市大阪の直接の起点であり、基盤である。それゆえ、現在の大阪の特質を理解することにも資するであろう。また史料読解のテキストとしても最適である。
目次
1 近世都市大坂の形成と三郷惣年寄(都市大坂の形成;三郷と惣年寄)
2 町(住民生活の基礎単位)(町の空間と家屋敷;町の人別;町の運営)
3 仲間(薬種中買;質屋;天満青物市場問屋・仲買;生玉神社社家;垣外仲間)
著者等紹介
塚田孝[ツカダタカシ]
1954年生れ。大阪市立大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アメヲトコ
3
2023年9月刊。近世大坂に関する史料17点を取り上げ、それを丁寧に読み解きながら大坂の都市社会史を描くという内容の一冊です。史料画像が鮮明で、釈文のみならず読み下し文に現代語訳、語釈に解説までついているので、くずし字読解のテキストとしても使える内容です。文字は比較的読みやすいものが多いですが、やはり書簡は難しい。2023/10/28
NAGISAN
0
大阪の三郷、「町(ちょう)」の町割り・宗門・運営など、史料(原本、釈文、読み下し、解説)を通じて丁寧に紹介されている。隠れキリスタンのあぶり出しを目的(著者の解釈)に宗門改めがなされているのがわかる。江戸期大坂の豪商ー今も続いたり没落したりーの名前が出てくるので、大阪人には読みやすい。2024/02/13