内容説明
方法論や見解が同じとはいえない記紀伝承を俯瞰的に捉え直す。氏族の物語・系譜研究の成果の蓄積から、記紀伝承の再検討を試み、天皇に関する系譜や物語伝承を、一旦は氏族の物語・系譜研究と同様の性質という問題に置き換え、記紀伝承を俯瞰的に捉え直す。内容は、記紀成立以前の系譜と物語に関する全体像、宗族となる氏族と同族氏・部民との関係を背景とする氏族の系譜・物語伝承に関する理論、記紀の叙述構成や氏族伝承と同様の視点などを背景とした天皇の伝承の特徴など、多岐にわたる。人文学必読の基礎研究。
目次
研究の立脚点と方法
第1部 系譜と物語伝承の展開(記紀を遡る系譜史料;記紀の説話と地方の伝承―ホムチワケ伝承の検討)
第2部 記紀の氏族伝承の様態(春日臣同族氏と一祖多氏系譜;ワニ氏の伝承について;春日臣と春日部―春日山田皇女のミヤケ伝承の分析;『日本書紀』の上毛野氏伝承)
第3部 記紀の天皇伝承に対する基本的理解(記紀の天皇と歴史像;天皇の祖先伝承)
記紀の天皇系譜と氏族伝承
付論 『上宮記』の史料的性格
著者等紹介
生田敦司[イクタアツシ]
1973年鳥取県生まれ。京都府立大学大学院文学研究科修士課程史学専攻修了、龍谷大学大学院文学研究科博士後期課程国史学専攻単位取得退学。博士(文学)。専攻、日本古代史。現在、大谷大学、龍谷大学、各非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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