内容説明
従来、方言研究は、特に記述または記述的研究は、語詞・語彙の流れや発音の異相には敏感であったが、ともすれば表面の現象観察にとどまりがちであった。方言事象の変化事実を指摘しても、なぜそうなのか、そうなったのかについては無頓着であることが少なくなかった。方言事象の分布を問題にしたとしても、分布図だけでは読みきれない世界がある。本書では、この、地域の襞ひだに残る、見落とされた世界の史的残像を掘りおこして、生活の変遷と共に生きた、かつての方言の息づかいに思いを傾けたものである。
目次
「れる・られる」敬語の変遷
敬語命令形の諸問題
動詞否定形の慣用
形容詞変遷上の旧形式と新形式
疑問表現の特殊慣用形式
応答表現小考
離別表現の一態
断定助動詞の消長
接続助詞の年輪
方言事象の衰退と転成
特殊発音の史的背景
方言に生きる古語・特色語
著者等紹介
神部宏泰[カンベヒロヤス]
1930年広島県に生まれる。1960年広島大学大学院博士課程(国語方言学)単位満了退学。兵庫教育大学名誉教授。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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