感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こたつドラゴン
7
心を打つ名著。ナイスネイチャで有名な渡辺牧場の方が書いた、馬の生死を見据えた半自伝的作品。馬に魅入られ大学を中退してまで牧場に嫁いだ著者が、競走馬になれなかった馬や引退馬の辿る結末を知り決意する。せめて自分の牧場の馬だけは幸せに生を全うさせてあげたい… エゴと自覚しつつ馬を救うため奔走し、時には現実に打ちのめされながらも信念を貫く生き様には、尊敬すると同時に痛々しさすら感じる。 この本が出版され約20年、解決には程遠いが確実に進展している今、競馬産業を語る上で避けては通れない必読の書となっている。2021/11/03
みやぎ
2
犬や猫だって飼うのも大変なのに、それより長生きするし、人間の何倍も大きな馬を最期まで面倒を見、幸せに生を全うさせるため頑張る著者。すべての馬が競走馬や乗馬として働けるわけでもなく、稼げない馬を養うという事の理想と現実。最後書かれていた馬券売上は一部養老費用にするというのいい考えだと思うけどできないのだろうか?作中にも登場したナイスネイチャも旅立ってしまいましたが、ドネーションも続けてほしい。2023/11/08
史
2
なにが人のエゴか。生命とはなんぞや。競走馬が役目を終えた時とはなにか。死生観であり、感情との関わり合いであろうか。いずれにせよ、タブーとして隠すことがなく、事実を広めることが大切なのかも知れない。2022/04/02
菊地
1
ナイスネイチャの生産牧場に嫁いだ女性の半自伝。本質が「動物好きの女の子」である著者が、「引退馬」に対する生産牧場・経済動物のリアルに直面して、理想と現実の合間でもがく情緒的な内容が綴られている。 正直牧場経営の観点だけなら著者の行動は生産性のない理想論であり、稼ぎ頭の馬に甘えた活動のようにも思えてしまう。 ただ、この本が出てから20年以上が経ち、生産牧場から「引退馬の養老牧場」に転身して理想を現実にした今となっては素直に頭が下がる。単なる「動物好きの女の子」では終わらず生業として言行一致させたことは凄い。2023/02/03
ichiteru
0
馬の安楽死、深く考えさせられる話でした。2016/03/01