内容説明
悦ばしき知は、常に不安に満ちている―アビ・ヴァールブルクの畢竟のプロジェクト、『ムネモシュネ・アトラス』を方位確認のための図表/盤として、構築/モンタージュ、解体、再構築/再モンタージュ、弁証法、根源、徴候、渦…の概念装置を駆使しつつ、ニーチェ、ゲーテ、ゴヤ、フロイト、ベンヤミン、バタイユ、プロッホのイメージ論を疾駆する、ディディ=ユベルマンの「アナクロニズム美術史」の輝かしい精華にして、イメージ人類学に向けての新たな炬火!
目次
1 不調和なもの―「これまで書かれなかったものを読むこと」(汲み尽くせぬもの、あるいは想像力による認識;われわれの時代の遺産―アトラス『ムネモシュネ』;内臓的なもの、星辰的なもの、あるいは、いかにして羊の肝臓を読むのか ほか)
2 アトラス―「苦悩の世界全体を支える」(世界の重荷の下で屈曲する巨人;追放された神々と苦しみの知;悲劇の残存、不安な悦ばしき知の曙光 ほか)
3 惨禍―「世界の解体、そこに芸術の主題がある」(文化の危機と現代の「魂の戦い」;実証主義の爆発、あるいは「ヨーロッパの諸学の危機」;戦争を前にしたヴァールブルク―カードボックス一一五~一一八 ほか)
著者等紹介
伊藤博明[イトウヒロアキ]
埼玉大学大学院人文社会科学研究科教授/芸術・思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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