内容説明
セクシュアリティや種の違いのみならず、サイボーグのように生命と非生命の違いすら乗り越えて共に寄り添う“重要な他者”としての伴侶種。その伴侶としての犬との関係性を描いて、現代思想・科学論・フェミニズムの第一人者が、「人間主義」を超える新しい思想を凝縮したマニフェスト。
目次
創発する自然‐文化
抱握
伴侶たち
種
進化の物語
愛の物語
トレーニングの物語
ポジティブな絆
荒々しい美しさ
アジリティー修業
ゲームの物語
犬種の物語
グレート・ピレニーズ
オーストラリアン・シェパード
自分だけのカテゴリー
著者等紹介
ハラウェイ,ダナ[ハラウェイ,ダナ] [Haraway,Donna]
1944年生まれ。コロラド州デンヴァー出身。1972年、イェール大学にて生物学の博士号を取得。ハワイ大学、ジョンズ・ホプキンス大学で教鞭をとり、1980年、カリフォルニア大学サンタクルーズ校人文科学部意識史課程教授に就任。文理融合型のフェミニズム理論を推進する。現在、同大学特別名誉教授
永野文香[ナガノフミカ]
1976年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科英米文学専攻後博士課程修了。博士(文学)。2005‐06年、米国ラトガース大学ニューアーク校客員研究員。2008‐12年、日本学術振興会特別研究員。現在イタリア在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハチアカデミー
16
他者である犬を、「重要な他者」として見つめ直すことの可能性、そこから示唆されることをエッセイ風にまとめた一冊。サイボーグ理論で著名な著者が、人間が共同で生きる存在に「伴侶種」と銘打った一冊でもある。人類とともに「共歴史」=「特定の環境のなかで生き、構成的かつ歴史的で、変化自在の関係を築いてきた」ものと見ることで、「自然ー文化において共進化の帰結を継承する方法」を探る。生産、というゴールを目指さない犬同士のじゃれあいにヒントを見る。ギブ&テイクの関係ではなく情を交えること。交感のありようの一端を垣間見れた。2014/12/20
garth
8
「もっとも政治的に正しいサイボーグとただの犬とのあいだの差異はmatter(問題=物質)なのである」それだけなの!?というかそれでよかったの!?というか。犬好きさえ七面倒臭い言葉で語らなければならない学者は大変だというか。2021/06/28
つだしょ
1
犬と人の共進化についてを、そもそも家族や愛とは何か?への新しいアプローチと絡めて提示する。犬はそもそもペットではなく、ときには牧畜などで助け合い、家を侵入者から守ってもらうなど、共に進化してきた伴侶種である。それは、「重要な他者性」の役割を果たしてきた。ただの気晴らしのペット扱いして蔑むのは間違いで、「なぜ人と結婚できるように、犬と結婚できないんだろう?」というのが著者の本音の一つだと感じる(「子宮内存在はきっと別の生物種のメンバーであってほしいと望んでいた」[p148])。2021/02/08
ふなし
1
★★☆☆☆2017/12/17