内容説明
近代の“理性的存在者”の基礎づけ。“ペルソナ”という語の歴史的伝統の中からどのように人格概念が育まれてきたか?古代からカントに至るまでのその足跡を豊饒な学識でたどる。
目次
第1章 古代ローマにおけるペルソナ概念の形成
第2章 キリスト教及びその伝統におけるペルソナ概念
第3章 中世スコラ哲学におけるペルソナ概念の解明
第4章 宗教改革者ルターにおける信仰とペルソナの問題
第5章 近世合理論哲学におけるペルソナ概念の解明
第6章 近世経験論哲学におけるペルソナ概念の解明
第7章 ドイツ啓蒙哲学におけるペルソナ概念の解明
著者等紹介
小倉貞秀[オグラサダヒデ]
1922年生まれ。1947年広島文理大卒。広島大学名誉教授、文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てれまこし
10
「人格」というのは西欧文化の鍵概念の一つだが、輸入されただけでぼくらにはピンとこない語の一つ。ラテン語では元来役者の被る「仮面」を意味したが、ここから「役割」、さらにはスコラ哲学の影響で世界で与えられた役割を演ずる「人間一般」という意味が生じてくる。また裁判のドラマにで役を演ずる「権利義務の保有者」という法的な意味も生じた。ここまでは解る。だがキリスト教でたまたま父・子・聖霊が神という一実体の三つのペルソナ(位格と訳される)と規定され、これが人間の人格概念にも波及したらしい。肉体と魂の二本性の複合的実体。2025/03/27