目次
第1編 ファシズム期の国家機構再編(「庶政一新」下の国家機構再編;日中全面戦争下の国家機構再編;近衛新体制下の行政機構改革とアジア・太平洋戦争勃発後)
第2編 ファシズム期の地方支配(経済更生運動下の町村行政;自治行政の新機軸と町村制の改革問題;農業団体統一気運の台頭と部落(町内)会等の整備
農業団体統合と地方制度改革の実現)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Naoya Sugitani
1
非常にボリュームのある本。第一部では主に広田弘毅内閣期から第三次近衛文麿内閣期の国家機構の改革を明らかにし、第二部では地方支配をめぐる内務省と農林省の対立などを描いている。日本ファシズム論は今日では後退してしまったが、この本を見るとファシズム論を主張していた側が、日本の国家機構の問題、すなわち、権力の割拠性による国家全体の機能不全の問題を正確に理解していたことがわかる。現在政治全体を描く理論が喪失して久しいと言われている。ファシズム論の後退によって失われたものは何だったのかを考えていきたい。2017/12/23