出版社内容情報
2000年にデンマークのNGO(Stop the Violence)が、北欧最大級の音楽祭であるロスキレ・フェスティバルで始めた「人を貸し出す図書館」ヒューマンライブラリー。障害者、ホームレス、性的少数者など、社会のなかで偏見やスティグマを経験したことのある人々が「本」になり、一般「読者」と対話をするこの「図書館」は、世界中に広がり、現在では90カ国以上で開催されている。本書では、大学や団体をはじめとする国内外の多様な実践を紹介すると同時に、偏見の低減効果、ヒューマンライブラリーの運営がもたらす学習効果などに関する分析を行い、自己と他者の関係性の再構築、また、日常の生活空間と差異を再構築する場としてのヒューマンライブラリーの意義を論考する。
はじめに
第一部 ヒューマンライブラリーの実践
第一章 日本におけるヒューマンライブラリーの実践?《大学編》
第一節 日本でのヒューマンライブラリーのはじまり――東京大学先端研 中邑研究室、ヒューマンライブラリー導入の経緯と実践
第二節 差異を認め合い活用する場――獨協大学ヒューマンライブラリー
第三節 ありのままの生き方を受け入れる! 多文化共生論――お茶の水女子大学ヒューマンライブラリー
第四節 教育手法としての有効性――麗澤大学山下ゼミのヒューマンライブラリー活動を通じて
第五節 経験型図書館の可能性
第六節 多様性に寛容なまちづくり――駒沢大学坪井ゼミのヒューマンライブラリー活動を通じて
第七節 明治大学のヒューマンライブラリー――一対一のヒューマンライブラリーを核にしたダイバーシティ・フェスティバル
第二章 日本におけるヒューマンライブラリーの実践?《団体編》
第一節 誰でも参加しやすい生きている図書館を目指して――ブックオブ・りーふぐりーんの取り組み
第二節 地域福祉を考えるきっかけとして――立川市社会福祉協議会流のヒューマンライブラリー
第三節 市民活動、そして日本語教育の現場から――ヒューマンライブラリーNagasaki実践報告
第四節 承認の場を生み出すヒューマンライブラリー――ヒューマンライブラリーin新潟の実践から
第五節 人と人、人と本とをつなぐために――横浜市中央図書館の取り組み
第三章 海外におけるヒューマンライブラリーの実践
第一節 ローンセストン市のヒューマンライブラリー――成功したプログラムを振り返って
第二節 フィリピンと東南アジア諸国連合(ASEAN)におけるヒューマンライブラリー
第二部 ヒューマンライブラリーの研究
第四章 ヒューマンライブラリーの偏見低減効果――アンケート調査による分析
第一節 はじめに
第二節 「読者」アンケート調査――回答者の属性
第三節 ヒューマンライブラリーについてのイメージの変化
第四節 「本」に対するイメージの変化
第五節 「本」との対話を通して得たもの――社会心理学理論との照合
第六節 大学で実施することの意味と可能性
第七節 「本」を借りたか借りなかったか
第八節 一〇か月後の再調査との比較
第九節 対話人数によるHL効果の比較
第一〇節 「生きた本」へのHL効果
第一一節 おわりに
第五章 ヒューマンライブラリーで学生は何を学んだのか――「司書」として参加した大学生のレポートから
第一節 はじめに
第二節 ヒューマンライブラリーはどのように活かし得るか
第三節 アクティブラーニングとヒューマンライブラリー
第四節 HLを通して学生が学んだもの
第五節 おわりに
第六章 ヒューマンライブラリーの多様化とアフォーダンス――「他者」との対話の効果はどこにあるのか
第一節 はじめに
第二節 ヒューマンライブラリーの多様化とアフォーダンス
第三節 多様化するHLのアフォーダンス――「読者」効果の概念的枠組み
第四節 おわりに
第七章 自己と他者の関係性の再構築――HLの対話の可能性をめぐって
第一節 はじめに
第二節 HLの対話世界
第三節 「視界の相互性」と「間主観的世界」
第四節 演劇的仮想空間
第五節 HL対話空間とパーソナル・スペース
第六節 現代人の魂の救済として
第七節 おわりに
第八章 日常空間を再構築する場としてのヒューマンライブラリー
第一節 はじめに
第二節 HLを開催する意味――状況(会場の設定)の重要性
第三節 空間と集団間関係の連結
第四節 差異の再構築――日常の折り合いをする場としてのHL
第五節 結論
おわりに
編著者紹介
分担執筆者紹介
コラム1 ゼミのない大学でのヒューマンライブラリーの作り方
コラム2 国際交流団体所属の学生向け研修として
コラム3 朝鮮学校におけるヒューマンライブラリー
コラム4 世界は「本」でできている
コラム5 「東京にしがわ大学」の生涯学習講座として
コラム6 個人でも開催できるヒューマンライブラリー
コラム7 多様性を認め合う社会に
コラム8 障害者の地域生活を考える交流会
坪井 健[ツボイ ツヨシ]
著・文・その他/編集
横田 雅弘[ヨコタ マサヒロ]
著・文・その他/編集
工藤 和宏[クドウ カズヒロ]
著・文・その他/編集
内容説明
2000年にデンマークのNGO(Stop the Violence)が、北欧最大級の音楽祭であるロスキレ・フェスティバルで始めた「人を貸し出す図書館」ヒューマンライブラリー。障害者、ホームレス、性的少数者、薬物依存症の人、外国人就労者など、社会のなかで偏見やスティグマを経験したことのある人々が「本」になり、一般「読者」と対話をするこの「図書館」は、世界中に広がり、現在では90カ国以上で開催されている。本書では、大学や団体をはじめとする国内外の多様な実践を紹介すると同時に、偏見の低減効果やヒューマンライブラリーの運営がもたらす学習効果を分析し、自己と他者の関係性の再構築、また、日常の生活空間と差異を再構築する場としてのヒューマンライブラリーの意義を論考する。
目次
第1部 ヒューマンライブラリーの実践(日本におけるヒューマンライブラリーの実践1(大学編)
日本におけるヒューマンライブラリーの実践2(団体編)
海外におけるヒューマンライブラリーの実践)
第2部 ヒューマンライブラリーの研究(ヒューマンライブラリーの偏見低減効果―アンケート調査による分析;ヒューマンライブラリーで学生は何を学んだのか―「司書」として参加した大学生のレポートから;ヒューマンライブラリーの多様化とアフォーダンス―「他者」との対話の効果はどこにあるのか;自己と他者の関係性の再構築―HLの対話の可能性をめぐって;日常空間を再構築する場としてのヒューマンライブラリー)
著者等紹介
坪井健[ツボイツヨシ]
岡山県生まれ。駒澤大学教授。日本ヒューマンライブラリー学会理事長、異文化間教育学会理事、東京ヒューマンライブラリー協会代表理事。専門は社会学・社会心理学、留学交流、学生文化比較、ヒューマンライブラリー研究
横田雅弘[ヨコタマサヒロ]
東京都生まれ。明治大学教授。日本ヒューマンライブラリー学会副理事長、異文化間教育学会常任理事、留学生教育学会理事。専門は異文化間教育
工藤和宏[クドウカズヒロ]
東京都生まれ。獨協大学専任講師。日本ヒューマンライブラリー学会理事、異文化間教育学会常任理事。専門は異文化間教育、国際高等教育(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スターライト
Tatsuo Mizouchi
yuka