内容説明
近代日本の美術界に大きな足跡を残した岡倉覺三(一八六三~一九一三)が生前に発表した英文三部作の最後の著作『茶の本』。ここには、岡倉の「繊細さ」がとらえた東アジアの芸術精神がみごとに描かれている。今日なお広く流布している「大アジア主義者・天心」のイメージを一新し、生身の岡倉「覺三」像を浮かび上がらせる訳者解説のほか、初版原文を併せて収録、詳細な註をほどこした。『茶の本』新訳決定版。
目次
茶の本
解説(「岡倉天心」と「岡倉覺三」;「天心」神話の歴史;戦後も生きつづける「天心」神話;「天心神話」と『茶の本』;『茶の本』という本;『茶の本』のメッセージと文体;『茶の本』の構成)
著者等紹介
岡倉覺三[オカクラカクゾウ]
1863~1913。没後「天心」と呼ばれてきた。東京美術学校(現東京芸術大学)の創立、東京国立博物館理事、雑誌『國華』創刊、日本美術院創設など、近代日本美術事業の基礎作りに貢献。晩年はボストン美術館に勤務、日本とアジアの美術を世界的視野から評価しようとした
木下長宏[キノシタナガヒロ]
1939年生まれ。同志社大学大学院時代に『岡倉天心』(紀伊國屋新書)を書き、以後岡倉に関する論考多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
だまし売りNo
25
現代社会の問題点を「値段の高いものを欲しがり、洗練されたものを欲しがりません」と述べる。ここには価格が高いものが洗練されているとは限らないという前提がある。値段と価値は比例しない。2022/01/23
たー
11
解説がわかりやすくて良い。原文は断念。2015/09/24
たつや
5
名著の開拓中に見つけ図書館で借りた。名著の開拓しなければ、知らずにいたであろう本。てっきり、茶道の解説本と思っていたが、花、道教、芸術鑑賞にも章を割き、英語で書き海外に向けて出版された本。最後は全文英語なので、パラパラめくっただけで読了した。2022/11/01
らい
5
なんだろう、憤りというか遣る瀬なさというか、そんな貧乏ゆすりが聴こえてきそうなメッセージを感じた。古代から達成してきた芸術を、なぜ表面的にしか表現しなくなったんだって。やっぱりその当時のアメリカ、ニューヨークでの東洋に対する無知と偏見もあったんだろうな。あと、解説がこの本、岡倉覚三に対する背景を充分に伝えてくれているのが、すごく勉強になった。団体とか協会ってほんと碌なものがないな、、2019/05/29
けん
4
★2.52023/11/10