目次
序論 原発に内在する差別の連関構造―科学技術支配の現実をえぐる(原発問題の社会学―その基本構造;ウラン採鉱に伴う原住民労働者の被曝と居住区の放射能汚染;原発立地の推進過程に露呈される「過疎」地差別の構造 ほか)
1 原発を問う、民衆智のネットワーク―『いろりばた』(北陸地域問題研究会会報)原発関連号ほか(短歌 愛し能登、原発地獄;会報『いろりばた』の発刊に寄せて;地方暴力飯場への潜入記 ほか)
2 専門科学主義なる幻想批判(実践的課題と社会学の自己変革―「生活実践の社会学」への道程;アナキスト社会学序説―権力依存を拒否する民衆の思想;知識支配の諸形態―技術・情報時代の意味 ほか)
著者等紹介
八木正[ヤギタダシ]
1935年生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。静岡大学講師・助教授、金沢大学助教授・教授、大阪市立大学教授、広島国際大学教授を歴任。金沢大学名誉教授。2009年7月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
4
題名は『原発は差別で動く』だが、原発と差別の関係を書いているのは約半分。不満の残る内容だった。ところで原発は過疎地域を狙って立地されているが、その「過疎」状況は都市一極集中の下に政治が意図的に作り出したものである。その意図的に作り出した場所に、地域開発を謳い原発を立地する。過疎という差別構造を作っておきながら、過疎だからという理由で原発を建設する。正に二重の差別である。そしてこの差別構造で最も罪深いのは、過疎地域の人間は放射能を浴びることを初めから想定されているという点だ。正に“原発は差別で動く”である。2014/09/01
Mealla0v0
0
「人類の暦における支配現象は、単に武力や財力だけではなく、知識の力による抑圧が一貫して働いていた」。原発におてもそう。フーコーを彷彿とさせるテーゼから導かれるのは、「行政から切り捨てられたものほど、行政の力に期待するようになる」という現実だ。つまり、過疎地を過疎地たらしめ、その救済としての原発を与え、差別を構造化していく。そこには科学万能主義という権力‐知が働いていたし、地方住民の被曝を許容する知が生産されていたというわけだ。本書の後半は原発を離れ、こうした権力に対抗するためにアナーキーを探求している。2017/08/02
-
- 洋書
- CAPUCCINOS