内容説明
西洋近代において周縁化されたユダヤ、アルメニア、カルムイク、ブラック・アトランティックから、東アジアの歴史空間を浮動する回族、華僑、朝鮮、在日、沖縄・奄美まで、国民国家に回収されない人びとの離散を架橋する、脱領域的「ディアスポラ学」の試み。付録として、ロジャーズ・ブルーベイカーの論考「『ディアスポラ』のディアスポラ」を、全訳し収録した。
目次
序論 「方法としてのディアスポラ」の可能性
序 ディアスポラについて、つねに複数として、かつ横断的に思考する
1 ディアスポラと西洋近代(追放から離散へ―現代ユダヤ教における反シオニズムの系譜;故郷を創る―アルメニア近代史に見るナショナリズムとディアスポラ;「三度目で最後の大陸」にいたるまで―カルムイク・ディアスポラの四〇〇年;ユダヤ・ディアスポラとブラック・ディアスポラ―比較・類比・鏡;ディアスポラと本来性―近代的時空間の編制と国民/非国民)
2 東アジアにおけるディアスポラ(序 「振り返ってみると」と「ふと気がつくと」―ディアスポラを書くことの認識論;離散と集合の雲南ムスリム―ネイション・ハイブリディティ・地縁血縁としてのディアスポラ;韓国華僑の外なる「故郷」と内なる「祖国」;民族と国民のあいだ―韓国における在外同胞政策;否定の民族主義のゆくえ―在日朝鮮人とディアスポラ;「脱線」からアチャラカへ―下町の「辺境」三ノ輪“界隈”の文化)
付録「ディアスポラ」のディアスポラ
著者等紹介
臼杵陽[ウスキアキラ]
1956年生まれ、東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学(京都大学博士、地域研究)。日本女子大学文学部教授。パレスチナ/イスラエル研究、中東政治
赤尾光春[アカオミツハル]
1972年生まれ、総合研究大学院大学文化科学研究科博士後期課程修了(学術博士)。大阪大学人間科学研究科特任助教。ユダヤ文化研究、文化人類学
早尾貴紀[ハヤオタカノリ]
1973年生まれ、東北大学経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。東京経済大学非常勤講師。ヨーロッパ近代社会思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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