内容説明
主に中世の遺跡・遺物に対して有効な、地磁気調査・DNA分析・人骨分析などの科学的手法を解説。その調査実例として鎌倉のフィールドワークを紹介する。考古学を専門とする学生・研究者はもちろん、中世歴史・考古学愛好者ならば必読の一冊。
目次
第1章 年代推定1―自然災害の痕跡を追う(過去の地震を土壌の磁気から探る;中国・北朝鮮国境白頭山の一〇世紀巨大噴火―放射性炭素法による高精度年代測定法)
第2章 遺跡および自然環境の復元(大規模遺跡を復元する―電磁気探査の利用;中世の環境と農耕の変遷―環境考古学の知 ほか)
第3章 古人骨・動物遺存体の分析と社会環境の復元(日本列島の北と南の人々の生活誌復元―形質人類学からの研究;食生態からみた北海道と沖縄の中世 ほか)
第4章 年代推定2―文化財を科学する(歴史時代資料の14C年代測定―古文書・古筆切の測定を中心に;中尊寺金色堂の遺体の同定)
第5章 中世鎌倉の素顔―考古生物試料を用いた分析(鎌倉市由比ヶ浜地域の中世遺跡出土人骨;鎌倉中世人骨・獣類骨の14C年代測定 ほか)
著者等紹介
中條利一郎[チュウジョウリイチロウ]
東京工業大学名誉教授・帝京科学大学名誉教授・中国科学院化学研究所名誉教授・東京文化財研究所客員研究員。高分子物理学
酒井英男[サカイヒデオ]
富山大学大学院理工学研究部教授。地球電磁気学
石田肇[イシダハジメ]
琉球大学大学院医学研究科教授。形質人類学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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全編すべて考古科学と呼ばれる分野からのアプローチ。みだしには「・・・考古学を専門とする学生・研究者はもちろん、中世歴史・考古学愛好者ならば必読の一冊!」とありますが、個人的には結構難解な内容でした。化学的専門色が濃く、これは文系出身者にはかなり壁の高い内容だと思います。本書ではところどころで、文理融合の重要さが訴えられており、理系研究者から考古学者へ歩み寄る姿勢が感じられ好感がもてましたが、文理融合考古学者の卵を育てるためにも、もう少し分かりやすい言葉で書かれた入門書がまず必要だと個人的に思いました。2012/04/22