内容説明
明治末期に“発見”され日本領に編入された中ノ鳥島、一攫千金を夢見る冒険商人たちが探検を重ねたグランパス島…。実在はしないこれら日本列島南方海域の島々の、“誕生”から“消滅”までのミステリーを解きほぐす。
目次
まぼろしの島々への招待―プロローグ
疑存島とは何か
ヨーロッパ人と北太平洋
「南進」の夢想と現実
孤島をめぐる争い
中ノ鳥島の謎
疑存島の“消滅”とその後
“山師”たちの夢のあと―エピローグ
著者等紹介
長谷川亮一[ハセガワリョウイチ]
1977年千葉県に生まれる。1999年千葉大学文学部史学科卒業。2007年千葉大学大学院社会文化科学研究科修了、博士(文学)。現在、東邦大学薬学部非常勤講師・千葉大学普遍教育センター非常勤講師・千葉大学大学院人文社会科学研究科特別研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
びっぐすとん
16
図書館本。もう随分前だが「幻のグランパス島を探す」というTV番組をチラッと見て、GPSで観測出来る現在、そんな未知の島なんてあるわけないよなあ、と思っていた。しかし観測方法が未熟な時代は位置の誤認、悪天候での見間違いなどで実在しない島が沢山海図に載っていたのだ。航海の安全の為には情報は多いに越したことはないし、当時海は今より未知の領域が膨大だったのだ。一攫千金を夢見て人類未踏の島を探したり、国家間で争ったり、疑存在の島は人間の欲の大きさが見せた幻だと言える。海は広いな、大きいな。行ってみたいなグランパス。2019/11/27
naimon
16
トンデモ本かと思ったら正統派。なぜ島が地図から消えていくのか。大航海時代から発生し、現代まで続く国境問題の発端が分かる(ちょっとくどいが)良本。あえて尖閣諸島や竹島をカンタンに扱っているが、他の島を知ることで、理解が深まる。GPSも衛星写真も無い時代、山師や帝国主義が跋扈した時代の話。2012/05/02
アラム
8
存外面白い。現在では地図から消えてしまった島々の遍歴を追う内容であるが、そもそも地図に「新島」として掲載された理由も様々あり(多くは位置計測ミスによる既存島の誤認のようだが、中には山師的なヤカラによる詐欺的な申告も)、そんな島々の開発申請をすぐ認めちゃう政府の雑さになんだか時代の勢いを感じるところ。現代では人工衛星の出現により同様の自体はもはや起こり得ず、島嶼探検のロマンは大きく減じているのだろう。2019/08/12
oldman獺祭魚翁
8
図書館本 HONZで見て早速借りてみた。矢鱈に緯度経度が記されて居るので読み難いかなとも思いながら読み初めると存外に面白く数日で読了。載っている地図を見ると昔の北太平洋上は島だらけで確かにGPSも無く天測だけで位置を測定していた頃を窺わせる。明治以降の冒険家(山師)達の活動ぶりを読むと実話版ミュンハウゼン男爵で存在もしない島の上陸報告等実に逞しい。魚釣り島・竹島が何故にこうもゴタゴタするのかもよく解った。2015/09/05
海星梨
4
期待外れ。あとがきにもあるが、島を中心にまとめた本だと思いきや人物紹介に多くの紙幅が割かれている。それこそ未確認な情報は書かなくて良いのでは?と思いつつ。バナナと比べて日本規模だとスケール小さいなぁと思いつつ。2020/07/04