内容説明
大化改新や壬申の乱などの舞台、飛鳥にはどのような王宮や施設が造られていたのか。斉明天皇による荘厳な空間整備、天武天皇の大極殿など、新しい国づくりの過程で飛鳥がどう都市化され、藤原京に展開するのかを描く。
目次
歴代遷宮の時代(飛鳥時代の幕開け;東アジア社会への飛躍)
「飛鳥宮」の時代(大化改新;斉明重祚と発掘された飛鳥宮;「飛鳥宮」の成立;律令国家への胎動)
「飛鳥宮」の成立(天武の即位と飛鳥浄御原宮;大極殿の成立;「飛鳥宮」の継承;「飛鳥京」の形成)
藤原京の形成(持統の即位と藤原宮;「新益京」と藤原京)
著者等紹介
林部均[ハヤシベヒトシ]
1960年、大阪府に生まれる。1983年、関西大学文学部史学地理学科卒業。2001年、博士(文学)。現在、奈良県立橿原考古学研究所総括研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shoji
32
崇峻が暗殺され推古が即位。以降、乙巳の変、壬申の乱、目まぐるしい政権交代、律令国家への胎動、藤原京遷都と歴史の過程に合わせる形で、飛鳥京と藤原京の成立とその意義が綴られています。飛鳥の地で斉明を始め歴代天皇が目指した都市整備の理念、天武から持統へと受け継がれた藤原の都市整備の理念が概観されています。当時の、権力争い、王宮の土地建物の移り変わり、隣国との外交にも触れており、興味深く読むことが出来ました。2024/03/01
chang_ume
9
宮都の方位軸に着目しながら、地形制約が強い舒明朝までに対して、正方位の立地が主体となる皇極・斉明朝に大きな画期を見る。また天武朝以降の宮外施設の正方位増加を「飛鳥京」成立の示標と捉えて、条坊制を必須としない「京」理解を提示。藤原京に関しては天武朝「新城」から持統朝「新益京」の変遷について、大宝律令後の改修を含めた段階的な建設と評価して、大藤原京説にはやや慎重な立場を採る。その他、小墾田宮復元案の再検討や飛鳥宮の空間復元など示唆に富む内容が多く、飛鳥宮(京)・藤原京理解に向けた一冊目にふさわしい。08年刊。2022/10/10
星乃
2
印象的だったのは古代史であまり取り上げられない舒明や皇極天皇を高く評価していること。それまで北から西に約20度ほど大きく振れていた宮を「天子、南面す」を意識し南北の軸に沿うよう正方位に改めた。重祚し斉明天皇と名乗ってからも方位にこだわり続け、周辺の建造物も正方位に改変。改変された区域外の建物は統一感のないバラバラな方角を向いて建っていたということなので、正方位に立っている建物の範囲内が飛鳥の京域だと断定できるとのこと。また、臣下の許可を得ず皇位を譲位した一件は天皇の権力を確立する契機にもなった。2023/07/19
めのこ
1
飛鳥時代に興味を持って、図書館にあったので手にとってみましたが、考古学メインで歴史的な予備知識がまったくなかったのでちょっとむずかしかったです。流し読みになってしまったのでまたチャレンジしたい。2016/03/18
月光密造者
1
都の名が変わることで、場所も変わったと勝手に考えていたが、遺物を生かしながら都作りを進めていたとは。飛鳥はまだまだ謎が残っています。地道な研究が続くことを祈ります。2010/10/20
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