内容説明
石橋湛山―明治から昭和に活躍した言論人・政治家・思想家。戦前は植民地放棄論、小国主義を唱えた経済ジャーナリストとして活躍した。戦後は政界に転身して自民党総裁、内閣総理大臣まで登りつめたが、病に倒れわずか二カ月で退陣し、その後は中国との国交回復に尽くした。多彩な言論と顔を持ち、「ナショナリズムの超克」を終生追い続けたその生涯を描く。
目次
第1 思想の形成と初期の言論活動(人格形成の要素;王堂哲学との出会い ほか)
第2 小国主義ビジョンの確立(普通選挙と代議政治論;帝国主義批判論 ほか)
第3 戦争への抵抗(経営者の横顔;世界経済の原則堅持 ほか)
第4 小国復興の理念と実践(更生日本の針路;政界入りと大蔵大臣就任 ほか)
第5 脱冷戦の構想と行動(第一次訪中;日中米ソ平和同盟論の誕生 ほか)
著者等紹介
姜克實[ジャンクーシー]
1953年生まれ。1983年復旦大学大学院中退、来日。1991年早稲田大学大学院博士課程修了(文学博士)。現在、岡山大学大学院社会文化科学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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金吾
25
信念を漏っている政治家だと感じます。政治家は信念や理念に基づいた現実的感覚や理想を保持して政策を進めなくてはならないと思いますが、現在はそのような人がいないため石橋湛山と、考えが異なる部分はありますが、清新な気分になりました。2023/04/25
nakagawa
1
彼の思想は小日本主義である。リベラルではかなりの知識人ではないだろうか。現在のリベラル層はあまりにもレベルが低いとも感じる。それは保守派もだが。彼の言説通りにしていたら国際的孤立を避けて太平洋戦争にならなかったのかもしれない。2017/04/14
ELW
1
湛山本を数冊読んだが、いまのところこれがお薦め。「文部大臣になるには新聞記者……」のくだりがあるが、政治家を志したのが戦後のタイミング だけなのか少し気になる。あとは、吉田下ろしのところや岸との暗闘をもっと知りたいかな。ナショナリズムへの警鐘はごもっとも。2016/11/14
SK
1
74*「小日本主義」。各国の「民族主義、ナショナリズム」こそ、平和共存を妨害する最大の原因(P.223)。経済に関することは詳しくないので、斜め読みした。戦時中でも信念の言論を貫いたのね。公職追放された理由が謎に包まれているようだが、どういった裏があるのだろう? 「石橋総理」の時代がもう少し続いたら、その後の日本ももっと違っていたんだろうな。日蓮宗の人というイメージがあったから、晩年はキリスト教も受容していたとは意外だった。田中王堂の哲学から大きな影響を受けたのだな。今こそ石橋湛山に学びたい。2016/03/20