内容説明
幕末の薩摩藩主島津斉彬は、曽祖父重豪の薫陶により吸収した洋学知識と、琉球を通して知り得た外国情報により、世界に目を向けた開明的な視野で施政を行った。国政においては一橋派を支持して幕政改革を企図し、藩政においては殖産興業・富国強兵の道を進んだ。人格・識見に優れた斉彬の影響のもと、薩摩から明治維新に活躍した輝かしい人材を輩出する。
目次
第1 おいたち
第2 青壮年期に多くの蓄積
第3 藩主への道は遠かった
第4 多彩な藩政の展開はじまる
第5 近代技術をとりいれた船と砲を
第6 積極的な国政への発言
第7 突然の死と死後の余光
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tomozuki Kibe
4
曾祖父・重豪のゲテモノ的蘭癖を一過性に終わらせずに事業として引き継ぎ、その急死によりそれらは中断したが、明治に引き継がれた。なによりも西郷大久保ら精忠組を発掘登用したことは幕末に巨大な影響。本編は高崎崩れからその死までの事実の列挙に徹し、「読み物」としての面白さには乏しい。著者の意見は「篤姫入内は工作員じゃなくて偶々の偶然」くらい。来週鹿児島に行くのだが、その予習としてはちとあっさり感情が高ぶりはしない。あ、集成館って今工事中なんだ。2023/03/23
Go Extreme
1
おいたち: 伝統を背負う外様大名島津氏 財政改革を使命とした父斉興 青壮年期・蓄積: 結婚ー婚姻関係 ひろく海外へ目をひらく 藩主への道: 琉球外交問題 調所追放 由羅退散 高崎崩れ 多彩な藩政の展開; やっと藩士の座 新藩主・晴れてお国入り 民政と勧業 藩士教育 近代技術・船と砲を: 苦労する様式造船 技術開発をはかる精錬所 日本最初のコンビナート集成館 積極的な国政への発言: 海防ー砲台と調練 琉米条約 パリ―来航・ハリス来日 突然の死と死後の余光: 財政主導で藩政後退 斉彬の意志をつぐ維新への道2024/09/13
やま
1
斉彬の死により一旦は中止され、明治に入ってから実現した事業がいくつもあるのが印象的。藩主として活動した期間は短いが、その中で将来を見据えた政策を立案し実行していたことを裏付けているようだ。2018/07/29
偽教授
0
西洋の技術の導入にかける情熱はんっぱない。西洋マニアそのもの。2012/10/12
Takafumi Kato
0
基本的には一時資料を中心とした事実を並べているという感じ。面白みには欠けるが、客観性は高いのだろう。藩主になってから、亡くなる直前までの活動の活発さは、怒濤のよう。あと10年、いや5年でも長生きしていたら、その後の日本はずいぶん違っていたかもしれないと思わせるに十分。2012/09/16