内容説明
戦前は言論人、戦後は政治家となり内閣総理大臣を務めた石橋湛山。彼が主張した自立主義と経済合理主義に注目し、言論と行動の連続性を証明。小日本主義という枠組みに再検討を迫り、新史料から石橋の思想を解明する。
目次
新しい石橋湛山像をもとめて
第1部 言論人時代編(自立主義と中国論;「浮動有権者」としての政党論;『東洋経済新報』と経済界;『東洋経済新報』の読者層;アジア太平洋戦争期の経済合理主義;「愛国的戦時抵抗」の思想)
第2部 政治家時代編(憲法第九条論と軍備論;戦後の経済合理主義と「政経不可分」)
言論人・石橋湛山と政治家・石橋湛山をつなぐもの
著者等紹介
上田美和[ウエダミワ]
1973年生まれ。神奈川県出身。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。同大学大学院文学研究科修士課程、オックスフォード大学大学院を経て、早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程史学(日本史)専攻単位取得。博士(文学・早稲田大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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koji
1
石橋湛山の言論と行動の複雑さと骨太さが分かりました。小日本主義と括られることが多い石橋の思想は、戦前、戦中、戦後で変転しているように見え、その言論・行動を追いかけると複雑な迷路に陥ってしまいそうです。著者は、小日本主義を戦間期の一つの固有の思想であり、自立主義と経済合理主義こそ、思想の核心と言います。しかしそれでも表層的な理解です。著者は、さらにその奥底にあるのは「言行一致の信条」にあると見ました。最終章のこの言葉にいきつき、石橋の骨太さと著者の透徹した結論に納得できました。本書は石橋研究の一つの白眉です2012/05/16