内容説明
高宗(一八五二~一九一九)李氏朝鮮第二十六代国王、大韓帝国初代皇帝(在位一八六四~一九〇七)。閔妃(びんひ/ミンビ、一八五一~一八九五)明成皇后。清国との朝貢体制の下、限られた国際関係しか持てなかった韓国は、西欧列強や新興国日本に対していかに対処しようとしたか。相次ぐクーデタ、大規模な内乱、日清・日露戦争、そして日韓併合。歴史の流れに翻弄された国王夫妻の軌跡を描く。
目次
プロローグ 生家との訣別
第1章 生家と養家―朝鮮王族に生まれて
第2章 大院君執政期とその帰結―制度的裏づけなきリーダーシップ
第3章 高宗の親政、そして挫折―若き国王による失敗
第4章 壬午軍乱―養家と生家の激突
第5章 甲申政変と清国との葛藤―勢力均衡政策の開始
第6章 日清戦争への道―列強と臣下との対立
第7章 乙未事変―閔妃の死
第8章 露館播遷と大韓帝国―高宗の孤独な覇権
第9章 破局―日露戦争
第10章 韓国の保護国化と高宗の退位―然らば致し方なし
エピローグ 退位後の高宗
著者等紹介
木村幹[キムラカン]
1966年大阪府生まれ。京都大学大学院法学研究科修士課程修了。博士(法学)。愛媛大学法文学部助手、同講師などを経て、神戸大学大学院国際協力研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kenitirokikuti
6
図書館にて。あとがき〈この本を一読していただければすぐにわかるように、高宗、そして閔妃は、決して、朝鮮王朝やそこに住む人々の幸せや発展、そして国家の独立のためばかりに努力した、才能と理性と、そして道徳心に溢れた人物ではない。〉大院君がインフレを招き、続く高宗はデフレを起こしてしまう。〈大院君には民に対する配慮はなかったかもしれないが、財政への配慮は存在した。しかし、[…]高宗には、逆に民に対する配慮はあっても、財政への配慮は存在しなかった。〉p.90 ここらは農本主義的な儒教の限界。読んでて辛いところ。2019/03/04
kozawa
3
評伝でありながら、ほぼ同時代を別の角度で書いた本になってて、同時期の朝鮮の勝利を大院君の政策による国防強化の結果としていて、江華島事件(1875)では政変後の実権を握った高宗の軍事再編で同地域の軍備が削減された2021/12/12
むっち
1
日清、日露の戦争の狭間で、朝鮮が中立国としていかに生きるのかという朝鮮側の 視点で歴史を追いかけたのは初めてだ。当時の朝鮮は大国の力のバランスの中をいかにうまく立ち回るかが関心事だった。しかも王権の絶対を維持しようということが第一で^あり国内の権力闘争ともあいまって外国勢力を容易にいれたことで混乱が極まった。日本も幕府はフランス薩長は米英という内乱図式はあったが、結局人民主権に思いいたさず、経済力では本源的蓄積のないまま列強と同じ価値観で侵略に乗り出した日本が直接的な侵略を開始した段階でも、欧米列強はロ2015/09/20
叛逆のくりぃむ
0
日韓関係の本にしては記述が抑制的なやうに思ふ。おすすめ。2012/07/06