内容説明
幅広い地域や人びとを巻き込み、近代史上最大の国民的運動となった自由民権運動。その実像とともに、伝統的民衆社会と近代世界との葛藤にも注目し、新しい時代へのスタートを切った日本社会の多面的な様相を描く。
目次
自由民権と近代社会
1 “自由”“民権”の語り、“議会”の呼びかけ
2 コレラ騒動論―その構図と論理
3 「四民平等」と差別
4 メディアと自由民権―高知県の場合
5 困民党の論理と行動
著者等紹介
新井勝紘[アライカツヒロ]
1944年生まれる。1969年東京経済大学経済学部卒業。1990年国立歴史民俗博物館助教授を経て、現在、専修大学文学部教授
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感想・レビュー
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moonanddai
6
自由民権について読んでいます。自由民権運動は士族、豪農を中心に「ある程度の」広がりを持って繰り広げられていたという認識は変わりませんが、それと「秩父事件」といった「民衆運動」とは、次元を異なって理解しなければならない部分があることを知りました。つまり、自由民権運動は近代化へ向けての路線対立であったのに対し、後者は反近代化運動ととらえるべきものらしい。その中で「シンボル」としての自由·民権はあっても、向かうべき方向性までも示したものではない。歴史といったものの見方みたいなものを勉強させていただきました。2016/06/18