目次
1章 高松塚古墳の発見と調査研究(高松塚古墳の発見;高松塚古墳と陵墓 ほか)
2章 国宝の壁画が辿った道(壁画はどのように扱われたか;壁画保存の模索)
3章 石槨解体の矛盾と壁画劣化の真相(拙速だった石槨解体;明らかになった壁画劣化の真の原因)
4章 東アジアの古墳壁画保存の現状(中国の古墳壁画の特徴と保存;高句麗の古墳壁画の保護の現状 ほか)
5章 我が国の古墳壁画保存の課題(もう一つの壁画古墳;国による今後の壁画保存の方針 ほか)
著者等紹介
松田真一[マツダシンイチ]
天理大学附属天理参考館特別顧問・香芝二上山博物館参与。1950年奈良県生まれ。奈良県立橿原考古学研究所調査研究部長、同附属博物館長を経て、現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アキ
113
なぜ高松塚古墳の壁画は1300年間色鮮やかな古代の極彩色を保っていたのに、国宝に指定され文化庁管理となった33年間で黴だらけの見るも無残な姿に劣化したのか?そこには漆喰面に描かれた墓室壁画の適切な保存方法についての経験がないことと、その事実を公開してこなかった文化庁の隠蔽体質がある。更に遺跡の現地保存という考古学の原則を無視し、生物被害防止のために石槨解体を行い、後に復元不可能と発表した。中国・高句麗の現状、キトラ古墳、虎塚古墳との比較も含めわが国の壁画保存の問題点と未来を論じる怒りに満ちた刺激的な本。2022/08/18
月をみるもの
11
石槨が密封された後(酸素は遺体や金属製品の酸化に使われて)窒素パージ状態になっていたために壁画が良好な状態で保存されていた、、、って解釈はホントなのかな(開ける前にカメラ入れたなら、そこで測定しとけよ)。。宇宙線(ミューオン)が退色の原因になる、、、という話も、ちょっと信じがたい(発掘前後で上にあった土の量が桁で変わったはずはない)。物理・化学・生物の専門家が保存チームに入っていなかったのが、保存失敗の根本原因であるように思える。2023/03/19